落語ブームは年々高まっている
人情の機微や話を盛り上げるための間の使い方など、ビジネスに必要な要素が詰まっているということもあり、近年また落語人気が高まっています。
落語会は都内で月1,000件以上ありますが、「寄席は高いのでは?」と思っている人も多いかもしれません。
確かに木戸銭(入場料)が、3,000円程度の寄席が多いのですが、なかには500円~1,000円の手軽な寄席もあります。
今回は、手軽な木戸銭で入れる寄席を三つ紹介します。
それぞれの寄席に出演されている落語家さんにインタビューもしてきましたよ!
真打の芸も見られる寄席「黒門亭」
落語協会には落語家が287名、講談師が3名、色物(漫才など)が62名、お囃子が16名、合計368名所属しています(2017年4月現在)。
この落語協会に所属している落語家・芸人が出演する寄席が黒門亭です。
「黒門亭」は落語家さんが平時稽古場として使用している落語協会の2階を会場に、毎週土・日の午後、4名(+前座)の落語家・芸人が出演する寄席です。
各回1,000円と格安の木戸銭ながら、日によっては真打(※1)の落語も聞くことができる寄席です。
※1 真打…落語家の階級の一つで、最上位にあたる。寄席の番組でもトリで登場する資格を持つ。
▼黒門亭のスケジュール・出演落語家一覧はコチラから
黒門亭で落語家さんプチインタビュー!
「黒門亭」に出演されている3人の落語家さんにお話を聞きました。
柳家かゑるさん
まずは柳家かゑるさんにインタビューをしてみました。
ーー落語の面白さとは何でしょうか?
「最低限のルールはあっても演者側がどう表現するか、お客さんがどう受け取るかは自由。演者側の考えとお客さんの受け取り方がズレていても成立するところが一番の魅力です」
ーー落語を初めて聞く方へのメッセージをお願いします。
「『「〇〇さんが面白い」とすすめられたから』などの先入観を持たず、何も考えずに来て、自分が「面白い」と思った人を好きになってもらいたいですね」
▲柳家かゑるさん
春風亭正朝さん
続いて、春風亭正朝さんにも聞いてみました。
ーー落語の面白さとは何でしょうか?
「落語はお客さんが想像力を働かせる芸であり、演者はあくまでも黒子。いい落語を聞くと、噺の背景を想像する中で背景が見える感じがする。それが面白さじゃないかな」
ーー落語を初めて聞く方へのメッセージをお願いします。
「『落語は難しいもの、古い』というイメージがありますが、予備知識がなくても楽しめます。映画館に入るような感じで来てもらいたいですね」
三遊亭天どんさん
最後に、三遊亭天どんさん。
ーー落語の面白さとは何でしょうか?
「落語は土台がしっかりとしている芸で、よほど外すことがない限り感じ方は個人の自由。演者によっても感じ方は変わるので、その違いを楽しめることが面白さです」
ーー落語を初めて聞く方へのメッセージをお願いします。
「『落語は古い、難しい』という固定観念を持たれがちですが、そんなことはありません。小さい寄席であればより臨場感を感じられるので、小さい寄席をおすすめします」
勢いある二ツ目の芸を楽しめる寄席 早朝寄席
▼鈴本演芸場
鈴本演芸場は、1857年(安政4年)に開席された「軍談席本牧亭」を母体とし、日本の伝統話芸である落語を中心とした寄席演芸を支えてきた、今年で開席160年を迎える演芸場。
その鈴本演芸場で行われるのが早朝寄席です。
早朝寄席では、二ツ目(※2)の落語家が4名出演。
500円で、二ツ目ならではの成長感を楽しめる寄席となっています。
※2 二ツ目…落語家の階級の一つ。寄席で”前座”の次に高座に上がるので二ツ目といわれる。
▼鈴本演芸場についての詳細はコチラから
▼早朝寄席の情報が掲載される鈴木演芸場の最新情報一覧はコチラから
鈴本演芸場で落語家さんプチインタビュー!
「鈴本演芸場」で3人の落語家さんにインタビューをしてみました!
古今亭始さん
まずは、古今亭始さん。
ーー落語の面白さとは何でしょうか?
「演者側側にも聞くお客さん側にも自由度が高い点です。同じ噺でも演者によって違うので、自分にとって面白い人を探す面白さがありますね」
ーー落語を初めて聞く方へのメッセージをお願いします。
「寄席は敷居が高いと感じる人も多いですが、近所のお寺など意外な場所で行なわれていることも多いので、そういうところから入ってみるといいと思います。物怖じせず、気軽な気持ちで来て下さい」
三遊亭美くるさん
続いて、三遊亭美るくさん。
ーー落語の面白さとは何でしょうか?
「演者側にも聞くお客さん側にも自由度が高い。同じ女性でも、とても女らしく演じる人もいれば、そうでない人もいます。そういった違いを楽しめる点が、面白い点ですね」
ーー落語を初めて聞く方へのメッセージをお願いします。
「全員がハズレというのはほとんどないので、色々聞いてもらいたいですね。『一人で来て大丈夫ですか?』とよく聞かれますが、もちろん大丈夫。安心して来てください」
春風亭ぴっかりさん
最後に、春風亭ぴっかりさん。
ーー落語の面白さとは何でしょうか?
「女性の落語家もいればおじいちゃんもいます。同じ噺でも演者で変わるので、自分に合う人を見つける面白さがあります。直感で『いい』と思う人を見つけてもらいたいですね」
ーー落語を初めて聞く方へのメッセージをお願いします。
「有名な落語家の噺でハードルを下げてから色々な落語家を聞くといいと思います。その延長線上に『面白い』と感じる人がいるかもしれません。それが私であれば嬉しいですね」
二ツ目の若手が出演する寄席 神田連雀亭
▼神田連雀亭
神田連雀亭は、古今亭志ん輔師匠が『「二ツ目」と呼ばれる若手芸人がお客様と真剣勝負できる勉強の場を提供する』をコンセプトとして2014年10月11日、東京・神田に開館した寄席です。
珍しいのは、所属に関係なく出演している点。
●落語協会
●落語芸術協会
●落語立川流
●(五代目)円楽一門会
●講談協会
●日本講談協会
上記6団体から、コンセプトに賛同した総勢100名近い二ツ目芸人が、団体の垣根を超えて出演。
真打昇進者も輩出しており、将来の真打を見つける楽しみのある寄席です。
開催日や開催時間によって、番組(※2)は全部で四つ。
「ワンコイン寄席」「きゃたぴら寄席」「日替わり昼席」「日替わり夜席」が楽しめます。どれも500円~1,000円と木戸銭もお手頃。
※2 番組…寄席の出演順、演目のこと(演目は書かれていないこともある)
▼神田連雀亭について詳細はコチラから
スペシャルゲスト登場!
最後に、林家木久蔵師匠にインタビューができました!
世間では「与太郎キャラ」と見られがちですが、落語観は実にシンプル。
師匠の言葉に落語を楽しむためのヒントが隠されていますよ。
林家木久蔵師匠インタビュー
ーー師匠の考える落語の面白さとは何ですか?
「落語は江戸時代から続く伝統話芸です。その魅力は様々な落語家が無駄を省き、現代に通用するように作り上げてきた結晶であるところ。演者が違うだけで表現される世界観が変わってくるところが落語の面白さですね。
一人の落語家を追いかけていると、同じネタにぶつかることもありますが、『設定が変わっている』、『進化している』等の違いがわかることも面白さといえます」
ーー師匠の理想とは何ですか?
「落語をパソコンのように普及させたいということ。
パソコンはある程度使い込んで、初めて好きなメーカーとか出てきますよね? 落語も同じ。何度も聞くことで好きな落語家ができます。追いかけるのはそこから。
『面白くない』と思ったら離れていってしまうので、初めて聞く人を落語の虜にしたいですね」
ーー落語を聞いたことがない人、寄席に行ったことのない人へのメッセージをお願いします。
「落語は、好奇心が向けば爆発的に好きになる要素を持ったコンテンツです。皆さんも好奇心をぜひ落語に向けて、ご来場いただきたいと思います」
インタビューでは終始にこやかな笑顔でお答えくださいましたが、その奥には落語が好きで好きでたまらない、そのような心を強く感じ取ることができました。
いつでも気軽に楽しめるのが落語
今回は、落語家さんへのインタビューと共に、500円~1,000円で入れる寄席を紹介しましたがいかがでしたか?
どの寄席も、年配の落語ファン層だけでなく仕事帰りのサラリーマンやカップルなど、幅広い年代の方が来ています。寄席はその日に来たお客さんと演者との一期一会の縁をつなぐもの。
皆さんも、ぜひ一度寄席で落語を聞いてみてくださいね。
※2017年7月時点の情報です。最新の金額などの情報は各寄席の公式サイトをご確認ください。