今はツイッターやFacebook、そしてLINEなど、SNSで見知らぬ人とも簡単につながれるようになった。絆というものがより簡単になり、人と人とが結ばれるようになった。そんな絆社会だらこそ聞いてほしい音楽がある。

そのアーティストの名前はRAM WIRE(ラムワイヤー)。そのまま英訳すれば「羊の絆」。「迷える子羊」などとかく弱い生き物の象徴として挙げられる羊たちが、絆で結ばれれば───弱い人同士だからこそわかり合えるものがある───。彼らの音楽はそんなぬくもりであふれている。

前作「ほどく」から2年3ヶ月ぶりにリリースされる2ndアルバムのタイトルは「むすぶ」。今回も、迷い続ける彼らだからこそ生み出され、紡ぎ出される音楽にあふれた一枚だ。

―― 約2年ぶりにお話を伺えてうれしいです。改めてRAM WIREの自己紹介をお願いいたします。

MONCH
トラックメーカーのRYLLとボーカルのユーズ、MONCHの3人組です。名前の由来は羊の絆という造語で、羊は「迷える子羊」とか弱いものの象徴として例えられることが多く、僕らもどちらかというと弱い存在なので、同じように迷っている人たちと手を取り合って強く歩んで行けたらいいなという願いを込めて、つけました。活動を始めたのは2000年ですが、今の編成になったのは2005年です。

RAM WIRE

RAM WIREは男女3人組のユニット。
左からRYLL、ユーズ、MONCH


―― メジャーデビューしたのが2010年とさらに時間がかかっているわけですが、ここまでどんな日々だったのですか?

MONCH
まさに迷い迷って...メジャーデビューするまでがなかなか思うようにいかなくて。いざ、デビューできるってなってからも、CDが出るまでに1年くらいかかって。デビューするというときには既にいい年齢だったので、半信半疑な部分があったんです。若い頃だったら「やったあ!」みたいな、手を上げて喜べますが、「...本当にデビューしたのかな」と。実感がなかったんですよね。

―― 年齢的にも「このままやっていくのか」みたいな決断の時期ですよね。

MONCH
周りはどんどん結婚したり出世していく中で、自分たちだけがその場に取り残されたまま、という感覚はあったので。ってすごいネガティブですけれど(笑)

ユーズ
でも現実的にそうやって考えられる年齢にもなっていたし。夢を語っていても通用しないのもわかっていましたし。

―― メジャーデビュー当時に思い描いていた5年後と今の姿ってどうですか?

MONCH
...厳しいですよね(苦笑)。自分が思い描いているようには届いていないと思っていて。葛藤というか、もがいているというか。

―― 今回2年3ヶ月ぶりにリリースされる2ndアルバムですが、まずこのタイトル「むすぶ」にした背景をお聞かせください。

ユーズ
前回のタイトルは「ほどく」で、からまった心をほどく役割になりたいという意味でつけたのですが、今回はからまったものをほどいた中で、もう一度きちんと結び直したい、という気持ちです。

―― 聞いていて、前回はほどきました、今回は結び直しました、という感じかなと思ったんです。「結ぶ」ではなく結び「直した」というか。あえて前作との対比にしたのかなと。

ユーズ
そうですね。もう一歩また前向きに進むというか、絡まったものをほどいてもう一度結び直す、という...前進ですよね。もう一度歩き出そうという意味合いもあります。

―― そう思うに至った経緯といいますか...前作「ほどく」から「次はこういう風にしよう」という考えはあったんですか?

ユーズ
そこまでは考えてなかったですが、今回アルバムができてタイトルを考えるときに「今回は『むすぶ』」だよねと言ったらみんな即決でした。それじゃないとむしろおかしい、みたいな。

RYLL
あと、まとめたい、という気持ちはありましたね。例えば2曲目の「花水木」という曲は10年以上前のインディーズ時代に作った曲で、ライブでもやってましたので。

―― 聞いていて、なんとなく力強くなった気がしたんですね。それが、「むすぶ」になっているというか。「ほどく」は力を抜きますけれど、むすぶは力を入れるわけですから。

ユーズ
...そうなんです(笑)。

MONCH
今度からそう言います(笑)。

RYLL
あー、でも確かにそうだなあ。

―― 5月にシングルでもリリースされた13曲目の「僕らの手には何もないけど、」で印象に残ったのが、「失うこと 割り切れぬこと 弾かれること」という、「~なこと」の積み重ねがとても好きなんです。階段を上っていくような一歩ずつ感というか。そういうのもあって力強さを感じたのかもしれません。

ユーズ
そうですね。でも、何もまだつかめている気がしなくて。メジャーデビューはしても、この「むすぶ」を出すまでも2年3ヶ月と時間かかりましたし、まだ結果も出せていなくて(苦笑)。

...苦悩はしているんです。でも、何もつかんでいないからこそ心を一つにして頑張れるというか。

―― この曲は自分たちの心境を歌った曲なんですかね。

ユーズ
「~なこと」で一つずつ挙げていったような挫折感はまさに自分たちが味わってきたことで。しかも一回味わったからといってなくなるわけではなく、またあることじゃないですか。これから生きていく中でまたいくらでもあると思うので。でもそのたびに「でも足掻くこと 信じぬくこと」と続くように、そういう姿勢でありたいなという。

―― なるほど、このパートが二回あるのも、嫌なこともまた繰り返すかもしれない、ということでもあるんですね。

ユーズ
前半と違って詞の後半は前向きな気持ちを全て置いたのですが、そういう自分でありたいというか、そこでまた取り戻していきたいなと。

―― 個人的には、挫折を繰り返してきたRAM WIREだから説得力がある歌だなって思うんですよね。

ユーズ
そうですね。私たちだから言えることもあると思うので。

―― 1曲目の「夢のあかし」も10曲目の「何度も」もそうですけれど、言葉の繰り返しで説得力があるというか、着実な感じがするんですよね。一気に、ではなく一歩一歩だなと。後、今回収録された2曲目の「花水木」はRAM WIREの原点という感じがしました。

MONCH
初期の頃の、韻を意識したりかけ声が入っていたりというのは、今同じような曲を作れと言われてもこういうテイストにはできないですね。

―― 昔の曲を入れることで新たな発見があったということなのかなと。

ユーズ
そうですね、改めて気づかされることありましたね。「今の自分じゃこんな言葉は使わないだろうな」とか。浮気とか切ない男女のいざこざみたいなものを今は題材にすることは少ないので。

―― 確かにRAM WIREって恋愛ソングのイメージがないです。

ユーズ
曲を書くとき、恋愛というより「愛」の方が強いんですよね。

―― 恋愛は特定の誰かに対するもので、愛はもっと広いものが対象というか。

ユーズ
それもありますが、単純に自分の年齢が上がったので(笑)。感覚として「恋」、じゃないんですよね。いきなり「愛」なんです。自分がまた誰かを愛したとしても、自分でも悟っちゃっている部分もあるので。

昔だったら小さなことで本当に心配したりとか文句言いたくなってヤキモチ焼いたりとか、そういうつきあい方ってもう今の自分はしないというか。「本当にこの人を一生愛せるのか」という気持ちで入っていくので、自分の恋愛観が変わってきたといいますか。人を愛する感覚が変わってきたから、ただ純粋にそれだけだと思います。

―― 他に9曲目の「Starry Night」が印象に残ったんです。RAM WIREらしくないきらびやかさがあったというか。ラブソングですし。

RYLL
RAM WIREとして初めて外部の方(EIGO)に詞も曲も全部プロデュースしていただいたんです。RAM WIREという形というかフォームを使ってもらって、違うものが見てみたいというか。ユーズも言ってましたけれど自分たちだと重くなっちゃう部分がどうしてもあって。

ユーズ
突き抜けて明るいところは自分たちじゃ作れなかったといいますか。歌詞も書いていただいたので、今の自分の感覚では出てこない言葉もありましたし。

―― 9曲目のMONCHさん初のソロ曲「AGAIN」も、いろいろ試してみたいという考えの一つなんですかね。

MONCH
アルバムの中にソロを一曲は入れたいなというのがあったんですけれど、チャレンジですね。ライブを意識しました。ライブではソロでやることもあるので、時に盛り上げられる、場の空気をガッと上げられる感じの、明るくて前向きな歌を作りたいと曲を作りたいという思いは前からあったので。

―― MONCHさんは曲に明るさを与えるというか、ユーズさんとの対比になっている気がします。

MONCH
そうですね、太陽というか。ユーズがしっとり歌うので、僕の役目としてはお客さんのテンションを上げることなので。ライブがとても楽しみな曲ですね。

ユーズ
あと、最後14曲目の「光景」は家族をテーマにしたのですが、私はこのアルバムを作るまでにいろいろあって、家族に対する思いで一つ気づいたことがあって。いつもある生活というか...家族って当たり前のようにいるじゃないですか。でも、家族でさえもずっと一緒じゃないんだなと。いつかはこの時間も全部終わって。人ってどうしても亡くなるじゃないですか。だからこの時間は永遠じゃないし、一緒にいるのが当たり前でもないし。本当に、一個一個時間はかみしめて大事に一緒に過ごしていきたいなと思って。

―― RAM WIREの音楽って今を大事にしようというメッセージが多い気がします。それは、いいときであっても、悪いときであってもかみしめようという。この一瞬一瞬を大事にしようというのがベースだと思います。あと、過去にもお話ししたのですが、キッチンとか食事のシーンを入れるケースが多いなと。この曲もそうですし。

ユーズ
そうですね。日常の風景を...本当にパンの焼けるにおいとか午前中のまぶしい風景とか、自分が子供の頃感じていたものをそのまま書いたんですよね。ウチは日曜日パンでして(笑)。午前中に朝日が入ってきていて、キッチンで母が焼いているパンのにおいとか、とても幸福感が漂っていたというか。その頃はそんなこと思ってないですよ。でも今振り返って、とても幸せな時間だったなと思うんですね。当時は「今日何して遊ぼうかな」くらいしか悩みがなくて。とても守られていて。父が一生懸命働いてその生活が成り立っているわけで、母も家族のためにいろいろやっていて、で、成り立つ当たり前の光景じゃないですか。子供の頃は何もわからず、感じなかったですし。今だったらわかるんです。どれだけ必死になって守ってくれていたか。

なので最後に「大人にな私は知る 記憶で華やぐ あのぬくもりの正体を」という歌詞があるのですが、それこそ愛だったんだなというか。日だまりの中にいるような、何ともいえない幸福感というか。

―― 絆という点だと家族の絆が一番深いわけですし。絆を歌っているアーティストなのであれば、当然そこに行き着くというか、絆の原点って家族なんだなと。改めて「むすぶ」ってRAM WIREにとってどんなアルバムですか?

RYLL
今まで話していて気づいたのですが、ちょっと強くならなきゃいけないなと思っているタイミングなのかなと。誰かのために強くならなきゃって思ったり、何かを乗り越えなければいけなかったり、ということがたぶん僕らの中にもあったのかなって思います。


※後編に続きます


■リリース情報

名曲「僕らの手には何もないけど、」「何度も」「花水木」他、豪華14 曲収録。
ほどかれた心で、結びあう。2年3カ月ぶりの傑作セカンドアルバム完成。

RAM WIRE 2nd Album「むすぶ」
2015.7.29 Release

RAM WIRE


初回盤A (CD+DVD)
\3,800+税
AICL2925-6

RAM WIRE


初回盤B (CD+CD)
\3,500+税
AICL2927-8

RAM WIRE


通常盤 (CD)
\2,950+税
AICL2929

【初回盤・通常盤CD】
DISC 1 [CD]
1.夢のあかし(STV ソチ2014 放送テーマソング / テレビ東京系ドラマ「大東京トイボックス」主題歌)
2.花水木
3.むつのはな(映画「アルカナ」主題歌)
4.愛の魔法
5.あいだじゅう(セイコーマート「ランブルスコ・セラ」CM ソング/ロハス
電力CMソング)
6.結いの虹(北海道内連携事業イメージソング)
7.Try The World
8.AGAIN
9.Starry Night
10.何度も -江ノ島プリズムver-(映画「江ノ島プリズム」主題歌)
11.約束
12.地球の夜
13.僕らの手には何もないけど、(映画「鏡の中の笑顔たち」主題歌)
14.光景

初回盤A DISC 2 [DVD]
1.あいだじゅう Music Video(芸人・塚地武雅と女優・芦名星によるドラマMV)
2.夢のあかし Music Video(フィギュアスケート選手・渡辺凛果を追ったドキュメンタリーMV))
3.僕らの手には何もないけど、 Music Video(「象の背中」の城井文によるアニメーション)
4.花水木 Music Video(主演:佐野ひなこ、平方元基によるドラマMV)
-Bonus Track-
5.Beautiful World Music Video(木村文乃主演一発撮りMV)
6.秘密 Music Video(深田恭子主演ドラマMV)
7.歩み Music Video(木南晴夏、井村空美主演ドラマMV)
8.名もない毎日 Music Video(芸人:鉄拳によるパラパラマンガMV)
9.大丈夫、僕ら Music Video(平均年齢61歳のシニアチアダンスチーム"JSCA"参加MV)
10.何度も Music Video(芸人:鳥居みゆきさん初主演のドラマMV)


初回盤B DISC 2 [CD] concept album -ひかり-
1.Hikari
2.暗号-光が意味するもの-
3.わたしあうもの-Chillwave ver.-
4.役立たず
5.Chain lyrics -Acoustic ver.-
6.ツキカゲ
7.大丈夫、僕ら -Acoustic ver.-

■ライブ情報

RAM WIRE むすぶTour 開催決定!!
2年2カ月ぶりとなるフルアルバムを引っ提げ、全国3ヵ所札幌・大阪・東京にて開催!

日程
2015年10月17日(土) 札幌 cube garden open17:30/start18:00
2015年10月23日(金) 大阪 梅田Zeela open18:30/start19:00
2015年10月29日(木) 東京 代官山UNIT open18:30/start19:00

料金:All Standing ¥3,900(tax in)ドリンク代別 ※整理番号あり ※4歳以上チケット必要

RAM WIREプロフィール

女性Vocal「ユーズ」、男性Vocal「MONCH」(モンチ)、Trackmaker「RYLL」(リル)による男女3人組。グループ名は、「羊たちの絆」を意味する造語で、「自分たちは迷える子羊であり、同じように迷っている人たちとの絆を築きた
い」という思いが込められている。

2001年、千葉のクラブを拠点に活動スタート。2005年にRYLLが加わり現在の編成となる。アルバイト生活をしながら約10年の間、地道なライブや自主盤の制作などの活動を続ける。

「後戻りもできない、まったく光も見えない日々だった」(ユーズ)中、RYLLのTRACK が、Spontania feat. JUJU「君のすべてに」として発表されたことがきっかけとなり、2010年10月。ソニー・ミュージックより、ミニアルバム「Beautiful World」をメジャーリリース。

2011年9月発売の1st single「歩み」が映画「僕たちは世界を変えることができない。」主題歌に抜擢。その歌詞にとにかく癒されると注目が集まり、2011年有線年間リクエストランキング4 位を記録。さらに2012年9月、俳優・松坂桃李が人生で一番泣いた曲としてTV番組で特集され発売から1年越しのチャート1位を獲得。

また、2012年6月発売の2nd ミニアルバム「名もない毎日」は芸人・鉄拳氏によるパラパラ漫画PV が"とにかく泣ける"とネットやTV で話題となり、レコチョクフル、ビデオクリップフル、歌詞サイト等で軒並みチャート1位を獲得。
2013年5月1日には活動13年目の1stアルバム「ほどく」がリリースされiTunesにて1位を獲得。CDも最高位13位を記録。

いままでにあげたPVの動画サイト総再生回数は1600万回を突破。
優しくも不器用な3人が集まって創りだしたそのメロディーと歌詞が、ソーシャルネットワークの口コミをきっかけに、今日もたしかに広がっている。

http://www.ramwire.com

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編集部有本

元エンジョイ!マガジン編集長(2014年10月時点)。かつてBIGLOBE MUSICを担当していた経験を活かし、よりエンジョイ!でウェッサイ!!なマガジンを目指していきます。

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