情報発信、起業支援…福岡市が取り組む「選択肢」作り(1)【福岡にリンク】

エンマガ福岡支局シリーズ続いては、ひょんなことから実現した福岡市役所への取材。エンマガ史上初の自治体へのインタビュー。今、福岡市が熱い!

東京にいながら福岡の情報をいろいろ調べているうちに「#FUKUOKA」というサイトに出会った。福岡の暮らしぶりやクリエイターたちの最新動向などが載っているWEBマガジンで、そのゆるい中身を興味深く読んでいて運営元を調べると、なんと福岡市が運営しているサイトだった。
市自らこのような楽しいニュースサイトを運営しているとは…その興味で実現した今回の取材。福岡市が行っている起業支援の取り組みなどと合わせて福岡市市長室、広報戦略室広報戦略課長の大倉野良子さんに話を伺った。
■首都圏への発信を「市」自ら手がける意義
―― 「#FUKUOKA」というサイトはどのような目的で立ち上げられたのでしょうか。
サイト名はSNSの投稿につける「#」に由来しています。以前も福岡のクリエイティブなニュースは発信されていましたが、分散している福岡の情報を「#FUKUOKA」としてまとめあげることで、福岡のニュース露出を増やそうと。
地方の自治体が首都圏で存在感を発揮したりプロモーションをするというのはなかなか難しいことなんですよね。市としては高島(市長)が定期的に記者会見を行ってますが、地元のテレビ局と新聞社来てくれるけど、東京のメディアに取り上げられることはないですから。首都圏に発信するとなると仕掛けが必要でして。切り口を変えて情報発信をやってきたんです。
私たち広報戦略室は「#FUKUOKA」の他に「データでわかるイイトコ福岡」をコンセプトにした「Fukuoka Facts」というサイトを運営してまして、この二つのサイトでプロモーションを行っています。「Fukuoka Facts」の方は福岡に関する統計データを、単なるデータではなく「あ、福岡ってこんなに面白い特徴があるんだ」「こんなことが一番なんだ」と,市民の方やメディアの方に楽しくわかってもらえるように伝えています。

「#FUKUOKA」のホームページ


―― はじめ見た時に、「#FUKUOKA」を市が運営しているとはとても思えなかったんですよね。なぜか豚足の記事もありましたし(笑)。
ぜんぜん役所に関係ないのですが(笑)、首都圏のクリエイティブな人材の方が面白いと思っていただけたらいいんです。「福岡はクリエイティブだ」と思っていただくには、やはり効果的に。
市としての情報を網羅的に、定期的に、義務的に伝えるというのは「#FUKUOKA」の役割ではないですからね。ターゲットにしている人たちに認知していただくのと「福岡がきてるぞ!」という空気をつくりたいです。
―― サイトの開設はいつ頃だったのですか?
2014年の10月11日です。福岡市は「グローバル創業・雇用創出特区」の指定を受けていますが、この日は,その象徴である「スタートアップカフェ」を福岡の中心部・天神にあるTSUTAYAの店内にオープンしました。また、市役所前の広場で映像と音楽のコラボイベント「The Creators」もやっていて、盛り上がっていた時期でした。
―― 「#FUKUOKA」が果たしている役割というのは、首都圏の人たちに福岡を発信したい、クリエイターの方に気づいてもらって福岡に興味を持ってもらいたい、ということですか?
はい。クリエイティブに関する内容を主に載せるようにしていて、その方たちの仕事のネタとして読んでいただきたいのもありますし、福岡のイベント、住みやすいとか楽しいとか、ライフスタイルマガジンみたいに福岡にスポットを当てることも目的の一つにしています。
また、出したニュースをさらにメディアの方に記事にしてもらったり拡散していただくことも狙っています。効果的に広報をしていくには拡散する必要がありますし。ニュースサイトとしているのはそういう理由です。クリエイティブな方々に気づいてもらうため、ですので。
―― ある意味、クリエイティブな人材を求めるような媒体であれば、当然媒体もクリエイティブさがないと振り向いてくれないですよね。
そうですね。柔軟な発想で記事編集をするというのは基本方針です。
―― 鎌倉の「カマコンバレー」の記事も読んだときに、福岡にも鎌倉という地名があるのかと思ったらそんなことなくて(笑)。福岡に関係のない記事も載せているのはそういうことなのでしょうね。
カマコンバレーから入っていただければいいんです。ターゲットに届けば。あと、いかにも「福岡はいいところ!」みたいな、広告然としたものっていうのも本物のクリエイティブな人から見ると、まったく受け付けないと思うんですね。やっぱり心をこめて柔軟に。市役所だからって市だけのことを載せるというような硬さもありませんし、バランスとしてはいいんじゃないかなと。読んでいただくターゲットに対して明確なコンセプトを持って臨むことは意識しています。
―― 福岡や九州の情報を発信するのは他に「piQ」というサイトもありますが、こういうサイトって市が自ら発信しているっていうよりは、西日本新聞など地元のメディアが立ち上げるケースはよくあると思うんです。福岡市が自らやっているというのは何か理由があるんですか?
おっしゃる通り「piQ」もあります。ですが、効果的に首都圏にうっていくという点ではどこかに期待するというよりは福岡市が出したい情報を自ら発信するのが一番いいと思います。
首都圏の人にずーっと見ていただくには少し手をかけてやっていく必要があると思っています。
―― 民間の方がやってもビジネスとして続かなくなるケースもありますから、市として器を用意しておくという役割もあるんでしょうね。
入口を作っておけば民間企業の方に使っていただいたり。一回でも「#FUKUOKA」とかで入っていただければ「piQ」があるのか、とかいろいろ知っていただくきっかけになりますからね。
―― 福岡市は起業支援にいろいろ取り組まれています。その一つが先ほど挙がった2014年10月にオープンしたスタートアップカフェだと思うのですが、これはどのような目的で作られたのでしょうか。
起業の相談を受ける窓口というのは、どの自治体にもたいていあると思いますし、福岡市も昔からあったんです。でもスタートアップカフェはカフェの名の通り、とても敷居が低いんですね。時間も夜の10時まで開いていますし、雰囲気もカフェですから入りやすいです。
カフェにはコンシェルジュがいて、「何かしたいけどどうすればいいんだろう」というところから相談にのって、起業に向けて後押しをしていくんですね。資金のことなら金融機関の方、法律問題だったら弁護士の方が…と、いろんな方が相談を無料で受けてくれるんです。特に毎週木曜日には「個別相談DAY」があって専門家の方々が無料で相談にのってくれます。そんな場所は今までなかったので、訪れる人が多いのだと思います。

まるでコーヒーチェーン店にいるかのようなスタートアップカフェの店内


―― なるほど、あくまでも気軽に相談できる、そして人が集まる場を提供しているんですね。
福岡市は日本一起業しやすい街を目指しています。それは補助金制度,というよりはマインド的なものが大きいです。創業のハードルを下げることは大事です。スタートアップカフェを中心に、創業を身近に感じてもらいたいです。
他には福岡市が会長を務めている「スタートアップ都市推進協議会」で、他の自治体と連携して子ども達のチャレンジ心を育てる授業ををやったり。それもマインド系なんですよね。
「#FUKUOKA」と連動してやってたのは、東京の人たちをインターンシップで福岡の会社で2ヶ月ほど働いていただき、実際に福岡に住んでもらう取り組みもしてます。
後編へ続く
#FUKUOKA 福岡のクリエイティブな最新ニュース
http://hash.city.fukuoka.lg.jp/
Fukuoka Facts | データでわかるイイトコ福岡
http://facts.city.fukuoka.lg.jp/

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