野菜を楽しく育て、食べることもできる家庭菜園はとても魅力的。しかし、始めるにあたり壁となるのが、土やプランターです。大きく野菜を育てようとすると、ある程度大がかりな設備が必要となります。土にコバエが湧くなど、虫の発生も懸念されるため、苦手な人にはハードルが高いことも。
そんな方におすすめなのが、家庭菜園を水と肥料だけで行う「水耕栽培」という方法。虫がつきにくく省スペースで、土の用意や廃棄も必要ないため、手軽に始めたい方にはおすすめです。
この記事では、水耕栽培を始める方法を紹介します。
水耕栽培ってなに?
通常、家庭菜園で野菜を作るときは、プランターや畑に野菜を植えるのが一般的ですよね。水耕栽培では土を使わず、容器に張った水に直接根を浸け、野菜を育てます。土の準備が必要なく、省スペースで始められるため、手軽に野菜を作ってみたい方におすすめです。
水耕栽培ではどんな野菜が育つのか
水耕栽培では、以下のようにさまざまな野菜を育てることができます。
【水耕栽培で育つ野菜(一例)】
- トマトやナスなど夏野菜
- シソやバジルなど食用ハーブ
- レタスなど葉物
- パクチー
普段食べているあの野菜も、水耕栽培で増やせるかもしれません。
水耕栽培に必要なもの
水耕栽培は、液体肥料を溶かした水に根を浸け、野菜を育てるのが基本スタイルです。そのため、最低限以下の道具が必要です。
【水耕栽培を始めるのに必要なもの(最低限)】
- 水を張り野菜を植える容器(一本だけならペットボトルでもOK)
- 液体肥料(水耕栽培専用のもの)
- 水
- 植物の苗または種
本格的にやりたい方の場合、屋内で使う紫外線ランプを購入したり、根腐れ防止に水流ポンプや観賞魚用のエアーポンプを用意したりすることもあります。
どの程度設備を充実させるかは人によって異なるため、まずは最低限の道具を揃え、必要に応じて徐々に増やしていくのがよいでしょう。
我が家の場合、発泡スチロールのプレートに穴を空けて水容器(幅30㎝程度のプラスチックケース)にフタをするように置き、穴から野菜の苗を差し込んで根が水に浸かるようにしています。
シンプルなシステムですが、これでも順調に野菜は育っています。
▼シソの茎から発根したところ。シソは茎を水につけると数日で根が出ます。
水耕栽培を始めるまでの流れ
水耕栽培は、以下の簡単4ステップで始められます。
- 植え付け時期と日当たりを考慮して野菜を選ぶ
- 水耕栽培の道具をそろえる
- 種または苗を入手する
- 水耕栽培スタート!
適した日当たりや栽培時期は野菜によって異なりますので、事前に情報をチェックしておきましょう。水耕栽培専用の品種などは特にありませんので、土に植えるときと同じように、ホームセンターなどから入手してください。
水耕栽培は、種と苗、どちらからスタートするからかによって、始め方に若干の違いがあります。
種から始める
種から始める場合、まずは発芽させる必要があります。
よく利用されるのは、台所スポンジや脱脂綿などを2~3センチ程度の大きさにカットして湿らせておき、そのなかに種を埋め込む方法です。
種を植えてからしばらくすると、可愛い小さな芽が出ますので、しばらくはスポンジを培地代わりにして育てます。枯れてしまわないよう、乾燥に注意してください。ある程度育ち、小ぶりの苗くらいの大きさになったら液肥を溶かした水を用意し、大きい容器で育てましょう。
苗から始める
苗の状態から栽培を始める場合は、いきなり水容器で栽培を始めます。苗を購入したときは、ポットから取り出して固まった根をほぐし、土を水で落としてから水に浸けてください。
ちなみに、わざわざ苗を購入しなくても、スーパーで食品として売っているものを苗として利用できることもあります。
たとえば、茎付きで売られているシソやバジルなどのハーブは、茎を数日水に浸けておけば発根し、そのまま育てられます。
ネギなども根の部分を長めに残して水に浸けると再生してきます。家で育てられる野菜がないか、冷蔵庫をチェックしてみるのも楽しいですよ。
我が家の水耕栽培ファーム
前述の通り、この記事を書いている私も、家で水耕栽培を実践しているひとり。道の駅で茎付きのシソが売られていたので「買うと日持ちしないし、家で増やそう!」と思い立ち、約1か月ほど育てています。ときどき葉っぱを収穫していますが、おおむね元気に育っています。
我が家のシソファーム。水容器に穴を空けた発泡スチロールのプレートを置き、穴から苗を差し込んでいます。
水耕栽培を始めるときの注意点
手軽に始められて楽しい水耕栽培ですが、挑戦するにあたり注意点もあります。事前に把握しておきましょう。
屋内栽培でもまれに虫がつく
水耕栽培は土を使わないため、屋内であれば比較的虫はつきにくいです。ただし、どこから入ってきたのか、まれに虫がついていることがあります。私の家のシソも、若干のアブラムシの被害に遭ったため、セロテープでくっつけて除去しました。
以下、虫(アブラムシ)の画像があるので苦手な方は注意
▼シソの葉についたアブラムシ
100パーセント虫がつかないわけではないので、苦手な方はご注意ください。
野菜に合った設置場所を選ぶ
プランター栽培でも同じことが言えますが、野菜によって必要な日照時間や強さが異なるため設置場所に注意してください。屋内で育てる場合は日照が不足することもあるため、レタスやみつばなど、など半日蔭でも栽培可能な野菜を選ぶと無難です。
屋外の栽培では藻とボウフラに注意
屋外での水耕栽培で注意が必要なのが、水容器内に発生する藻とボウフラです。
容器内に藻が大量発生すると、野菜が栄養を吸収しにくくなってしまいます。
ときには生育に悪影響が出ることもあるため、早めに除去することをおすすめします。容器にアルミホイルを巻くと、容器内への日光を遮断して藻の発生を抑えられます。
ボウフラが発生すると蚊が湧く原因となるため、こちらも早めに除去しましょう。観賞魚用の網などですくっても良いですし、水を捨てて新しいものに替えるのも効果的です。
エアーポンプや水流ポンプを導入すると、蚊が産卵しにくくなるため、しつこいようなら導入を検討しても良いでしょう。
うまく育てば節約にも!まずは気軽に始めてみよう
水耕栽培の魅力は手軽に始められること。液体肥料と苗・種があれば、あとは自宅にあるもので始めることもできます。
「ちょっと野菜が足りない」というときに自家製の野菜を利用できるので、うまく育てば節約にも繋がりますよ。興味がある方はぜひ試してみてください。