皆さんは、辞書って使ってますか?
最近はネットで検索しちゃうなぁ、という人の方が多いかもしれません。
が!そんな現代でも、わざわざ読みたくなるような辞書があるのです。
それが、三省堂「新明解国語辞典」。現在出ているのは第七版で、左が特装版、右が並版です(紙面内容は同一)。累計2080万部、日本で最も売れている小型国語辞典です。
見た目はごく普通ですが、実は全く普通ではありません。内容がさりげなくぶっ飛んでいるのです。
ファンの間では「新解さん」と呼ばれて親しまれている、この辞書。一体どうぶっ飛んでいるのか、ピックアップした実例を紹介します!
※ここで紹介する実例は、すべて第七版の掲載内容です。
れんあい【恋愛】
特定の異性に対して他の全てを犠牲にしても悔い無いと思い込むような愛情をいだき、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと。
・・・「恋愛ってそんなに苦しいものだったっけ?」と、思わず過去の恋愛について思いを馳せてしまうほどに、情念がほとばしった説明(しかも長い)。よほど辛い経験があったのでしょうか。
はつこい【初恋】
少年少女時代(青年初期)の、うたかたと消えた恋。
・・・やはり、辛い経験があったようです。では、新解さんにおける恋人の定義とは?
恋人【こいびと】
その人の恋している相手。
・・・えぇぇぇぇええええ。それは!それはちょっと!説明が大雑把すぎやしませんか!
付き合っていなくても恋人と呼んでいいのですか!?・・・いいのですか。・・・よし、今日からもっと自由に、恋人という言葉を使おう!
こうぼく【公僕】
〔権力を行使するのではなく〕国民に奉仕する者としての公務員の称。〔ただし実情は、理想とは程遠い〕
・・・最後の一文は必要だったのでしょうか。たぶん必要だったのでしょう。とりあえず、公務員に対して、ただならぬ思いがありそうです。
フリーター〔和製洋語〕
〔フリーとアルバイターの混交〕自分の好きなときに好きな仕事だけをするという形のアルバイター。
・・・フリーターに対しても何か言いたいことがありそうです。
しゃれ【洒落】
〔その場の思いつきとして〕類音の語に引っかけて、ちょっとした冗談や機知によってその場の雰囲気を和らげたり、盛り上げたりする言語遊戯。例、潮干狩に行ったがたいして収穫がなく、「行った甲斐(=貝)がなかったよ」と言うなど。
・・・ダジャレが得意なデーブ・スペクターさんも、中学生の頃から「新解さん」を使って日本語を勉強していたそう。
そして気付いたのですが、たとえば上のダジャレを日本人が言っても全く盛り上がらなさそうですが、外国人が言うと、賢く、しかも面白い人に見えそうですよね。
ダジャレに限らず、「新解さん」に載っている説明や例文を外国人が使ったら、日本人に大ウケしそうな気がします。ちょっとブラックジョークっぽいといいますか。実際、外国人の愛用者も多いようなので、日本語のみならず、日本の国民性や社会背景を伝える役割も果たしているのかもしれません。
ちなみに「新解さん」は、スマートフォン向けアプリ「新明解国語辞典 for iPhone/Android」も出ています。スマホで読みたいな、という方はぜひ。値段も書籍版よりお手頃ですよ!
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