今からでも遅くない!「数学をやりなおす」オトナの理由

数学から離れて久しい我々大人に、再起のチャンスはあるのだろうか? 数学を学ぶメリットと再学習のヒントを聞いてみた。

友人や同僚に「数学が得意だ」と言われると、何とも言えぬ畏敬の念が込み上げてこないだろうか?

苦手とする人が多いだけにインパクトは大。外見とのギャップで「意外性」が追加された場合は、さらにポイントが高くなる傾向がある。
当然その裏には「できるようになりたい」という願望が存在している。
では、数学から離れて久しい我々大人に、再起のチャンスはあるのだろうか?
大人のための数学塾を運営する永野裕之先生に、数学を学ぶメリットと、再学習のヒントを聞いた。
「〝大人の方々〟が私の数学塾に通う理由はさまざまです。化学系ベンチャーの営業職、マーケティング分析、大学の再受験、そして、子どもに教えるためという方もいます」
インターネットが普及し、顧客データなどを数値で把握できるようになった今、確かにビジネスシーンにおける数学のメリットは大きくなってきている。しかし、数学を学ぶ本当の価値はそれだけではないと、永野先生は語る。
「数学的(論理的)思考ができる人間は、いわゆる『難問』をいくつかの基本問題に分解して少しずつ解決していきます。論理的であるとは、小さな石を積み上げるように考えること。数学は、論理的思考を駆使して現代を生きるスキルを身に付ける、最も有効な方法だと思います
先生は「数学嫌いの原因は算数のノリで数学を学んでしまったこと」だと指摘する。「ルールを覚えて反復練習し、スピードを上げる」という算数の学習法は、そもそも数学に適さない。再学習の方向性を解説しよう。

① 数学的思考では「暗記しない」

公式や定理が目に入っただけで、拒否反応を示してしまう人に朗報! 数学的思考で重要なのはプロセスであり、公式の暗記ではない。「覚えなくてすむ方法を考える」ことに本質がある。

② 中学数学は「自分の頭で考える」ことを鍛えるのに最適

中学数学からやり直すのは非効率と思われるかもしれないが、「中学数学には数学的に物事を考えるための基礎がぎっしり詰まっている」と先生は語る。急がば回れ、である。

③ 大人だからこそ「意味」が見える

問題は、具体的なイメージと紐付けて考えることが重要。それを可能にするのは、豊富な語彙(ごい)と人生経験だという。我々「大人」に誇れるのは、中学生とは比較にならない経験値(だけ)だ!

出典:サーイ・イサラ 2013年9月号

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有賀久智(あるがひさとも)

元サーイ・イサラ編集部員。写真好き・カメラ好きのくせに、最近はすっかりスマホ×Instagramでのスナップショットで満足してしまっている。モットーは「サービス精神」。