皆さんは、暗闇に対してどんなイメージがありますか?
おそらく、「怖い」「不安」「不便」など、ネガティブなイメージを抱く人が多いのではないでしょうか。

ところが、そんな暗闇の概念をくつがえしてしまう、ユニークなイベントがあるのです。
その名も『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』

参加者はグループを組んで、完全に光を遮断した空間に入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、さまざまな体験をします。

・・・でも体験って?暗闇で一体何をするのでしょう?
うーん、想像がつかない。これは行ってみるしかありません!

ダイアログ・イン・ザ・ダークとは

新感覚! 暗闇の概念をくつがえす「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみた

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、1989年、ドイツで、哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれました。

世界 30か国・約110都市で開催され、2011年までに900万人以上が体験。日本でも、1999年以降毎年開催され、今は東京・外苑前にて長期開催されています。

友達や恋人、家族など誰かを連れて参加してもよし、ひとりで参加してもよし。今回ワタシが参加した「一期一会」は、ひとり参加限定のイベント。毎回すぐに参加枠が埋まってしまう、人気のイベントの一つだそう。

知らない者同士、どんなコミュニケーションが生まれるのか、期待が高まります!

いざ外苑前へ

というわけで、雪の残る某日、ダイアログ・イン・ザ・ダークを体験すべく、外苑前へと足を運びました。

新感覚! 暗闇の概念をくつがえす「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみた

そろそろかな、と思った頃、黒い看板が。

ダイアログ・イン・ザ・ダークの文字。ここですね!

新感覚! 暗闇の概念をくつがえす「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみた

光と陰、無機質と有機質。対照的なものが組み合わせられた素敵なエントランスに、思わずテンションが上がります。現代アートのギャラリーのようなたたずまいです。

新感覚! 暗闇の概念をくつがえす「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみた

ドキドキしながらドアを開けると・・・

新感覚! 暗闇の概念をくつがえす「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみた

そこには、明るくあたたかみのある空間が!
イベントのスタート時間まで、ここで過ごすことができるんですね。

・・・と、このように写真を多めにしているのは、当然ながら暗闇に入ったら何も撮影できないから!

あ、そろそろ時間のようです。参加する男女8名が暗闇へと続く入り口に集合します。

白杖を選び、自己紹介

今回、我々を案内してくれるのは、アテンドの「はと」さん。視覚障害者の男性です。まずは、はとさんのアドバイスのもと、自分の身長に合った白杖(はくじょう)、すなわち視覚障害者用の杖を選びます。

そして、男女8名がそれぞれ簡単に自己紹介。なんと今回が21回目の参加だという方も!季節ごとに内容が変わるので、何度来ても飽きないのだそうです。

よどみない説明にさりげなくダジャレを挿入してくる、はとさんのトークに皆の気持ちがほぐれたところで、いざ暗闇へ!

まっくらやみがあぶり出すもの

・・・何も見えません(当たり前ですが)。

進んでくださいと言われても、怖くて進めません。近くに誰かがいないと不安なので、自然とお互いに身体がくっつき、おしくらまんじゅうのような状態に(ただし皆同じ方向を向いている)。

暗闇の中では進むべきルートが決まっていて、障害物がある場合には「もうすぐ橋があります」「橋を渡ってください」などの案内があります。各自、杖をついて周囲を確認しながら歩きますし、はとさんが足場を確認する方法も教えてくれるので、危険なことはありません。

地面に置かれた太鼓橋を、私たちは皆で横並びに手をつないで渡りました。
「・・・これは珍しいです」と、はとさん。こんな渡り方をするグループは、これまでにいなかったそう。

つまり、同じ暗闇の中でも、人によって、そしてグループによって行動パターンに違いが出てくるのです!

ちなみに、進むときも手をつなぐときも、「ダヨリンです、前にいるのは誰ですか?」「バナナです。そのまま進みます」という具合に、声を掛け合います。これを躊躇せずおこなう性格かどうか、未体験の空間でも一人で進むタイプかどうかなども、行動パターンに影響してくるのかもしれません。

見えないからこそ、見えてくる

一番驚いたこと。それは、アテンドのはとさんが、スイスイ歩いていくこと。

常に目が見えないということがどんなものであるかは、今回の体験だけでは我々には到底うかがい知ることができません。でも、視覚が無いことによって磨かれた能力は、誇るべきギフトだなと。

人は感覚を封じられることによって、別の何かを得るのだなと。暗闇をはとさんに案内してもらって、ハッキリと肌で感じました。

見えない状態で書き初め!

暗闇で何がどんな風に行われたか、あまり詳しく述べてしまうと、これから参加する人の楽しみを奪ってしまうので、気をつけながらお伝えしますが(笑)。

今回は1月初旬の取材だったので、「お正月」をテーマにした仕掛けが随所に散りばめられていました。

食べたり、飲んだり、触れたり、聴いたり。視覚以外のあらゆる感覚を使いました。もちろん普段も使っているのですが、まっくらやみの空間では、視覚以外の感覚を使っていることに自覚的になるなぁ、と実感。感覚を丁寧に扱うとでも言うのでしょうか。

そして、暗闇で書き初めまでやっちゃいましたよ!

新感覚! 暗闇の概念をくつがえす「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみた

今年の抱負を一文字で表す、というお題のもとで書きました。暗闇で最初の一筆を落とすのは、ものすごく勇気がいるものですね・・・。

書いたのは「笑」の一文字。右下の署名では「ダヨリン」の「ン」が紙からはみ出してしまい「ダヨリ」になっていますが、このかすれ具合、結構気に入ってます!

暗闇のここちよさ

約1時間半に渡る体験が終了。

参加者同士、最初は遠慮があったのに、今は気さくに会話ができます。暗闇に入る前と後とで、距離感がまったく違っているのがスゴイです。

中には、「もう日本中が真っ暗闇になればいいと思いました!」と感想を述べていた男性もいました。え、どういうこと?と思うかもしれませんが、体験すると、その気持ちがすんなり理解できます。

見えるということが、時として人と人との間に壁を作るということ。暗闇にいると、その壁がなくなることを実感するからです。

新感覚! 暗闇の概念をくつがえす「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみた

これは参加者の方が書いた感想ですが、始めに暗闇に入った瞬間の怖さ、そして慣れるにしたがい感じた、暗闇だからこその人と人とのつながりの強さや、その空間のここちよさ、感謝や感動の言葉がびっしりと綴られています。

ちなみにワタシはアレルギー性鼻炎で、この日も涙と鼻水に悩まされていたのですが、暗闇にいる間はピタリと止まっていました。

何かに集中していると止まることが多いのですが、暗闇にそんな効果もあるなんて!(はとさんに「面白いですねぇ」と言われました(笑)。

アテンドのはとさん「毎回発見があります」

イベント終了後、今回のアテンドを務めてくれた、はとさんこと國宗陽介(くにむねようすけ)さんにお話を伺いました。

はとさんは、約一年前にアテンドの仕事を始め、案内した回数は既に200回以上。とても大変な役割だと思うのですが、戸惑ったり苦労したりすることはないのでしょうか?

「特にないですね。小学一年生から七十代のご夫婦まで、幅広い世代の方が参加されるのですが、毎日が発見です。たとえば子供は大人よりも歩くスピードが速くて、どんどん前に進もうとします。暗闇では大人と子供の立場が逆転して、子供の方が大人をリードするんですよ」

いろんなものが逆転する世界なんですね!
ビジネス・ワークショップとしても活用されているようですが、そちらも興味深いなと思いました。

新感覚! 暗闇の概念をくつがえす「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみた

「ワークショップでは、アテンドではなくトレーナーとしてリードしていきます。ダジャレも言いません(笑)。参加者にプレッシャーを与えて、気付きと変化を見てもらう感じです。暗闇では肩書きなども関係なくなるので、お互いの距離感がこれまでとはまったく変わります」

なるほど。距離感の変化はダイアログ・イン・ザ・ダークの重要なキーワードかもしれませんね。

友達同士で参加する人は多そうですが、恋人同士も?

「いますよ。彼女と手をつなぎたいから参加した、と彼女の前で宣言した男性もいます(笑)」

そんな活用法もあるんですね!

ワインのテイスティングから婚活まで

何度も参加するリピーターが多いことからも分かるように、さまざまなテーマを設けて内容に変化を加えているのも、ダイアログ・イン・ザ・ダークの面白いところ。

たとえば、暗闇でワインを試飲する「ワイン・イン・ザ・ダーク」。未来のパートナーと出会いたい人向けの「婚活・イン・ザ・ダーク」など。

新感覚! 暗闇の概念をくつがえす「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみた

2月~3月は、バレンタイン・ホワイトデー応援期間ということで、真っ暗闇で出会った仲間と大切なもの・人・思い出などを語り合う「LOVE IN THE DARK」を開催。友達や家族、職場の仲間と共に、もちろん一人でも大歓迎だそう。

ちなみに、カップルや夫婦で参加したところ、新たな一面が見えて、付き合い始めた頃の感覚が蘇った、というケースも多いのだとか。

倦怠期カップルや熟年夫婦の皆さん、一度二人で出かけてみては?万が一アツアツに戻らなかったとしても、必ずや得るものがあることを保証しますよ!

『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』の詳細はこちら

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ダヨリン(ヨダエリ)

パソコン通信からネットに親しみ、ユーザー視点に立ったデジタル活用術の記事を『日経新聞』『日経ネットナビ』など多数の媒体で手がける。「イマ・ヒト・ココロ」が執筆テーマで、恋愛アナリストとしての著書も。思春期はドイツ在住。好物はお茶とROCK。 ⇒ダヨリン普通日記

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