同じ形に見えるけど充電できる・できない「USBケーブル」の不思議

パソコンやスマホ、デジカメなどの電子機器はそれぞれにUSBケーブルが必要で「面倒だ」と感じたことはありませんか? さらに、同じようなUSBケーブルなのに、違う種類だったために起こるトラブルもあります。今回は、見た目が似ているUSBの見分け方とそれぞれの特徴を解説します。

同じようなUSBケーブルだからどれでも良いと思いきや…

先日、久しぶりにデジタルカメラを利用する機会があり、充電しようと付属のUSBケーブルを探したのですが見つからず…。そこで、出先のコンビニで購入したスマホの充電器(電池タイプの)に付属していたケーブルを接続したのです。
つなげてから約2時間後。「そろそろ十分充電されたかな?」と思い、デジカメの充電容量表示を見てみると、まだ11%! その後、1時間おきに確認するもずっと11%から変わらず、一向に充電が進まない様子。
いったいこれってどうして? 原因を究明すべくネット上であれこれ検索してみると、いくつかの要因が考えられるようです。

USBケーブルの種類と特徴

トラブルの原因を知る前に、調べてみると、問題の起きているUSBケーブルは、mini USBという種類で、Mini-Bという形状のようです。USBケーブルには以下3つの種類があるそう。
(1)USB
(2)mini USB
(3)Micro USB

そしてこの3つは、さらに細かく分けることができます。

(1)USB

USB 1.0

1996年1月に登場。最大データ転送速度は、1.5Mbit/秒で、現在は、ほとんど使われていません。

USB 1.1

1998年9月に登場。同時期に登場したWindows 98やiMacでは、この「USB 1.1」(データ転送速度・最大12Mbps)が標準対応しており、USBの普及のターニングポイントとなりました。

USB 2.0 Type A・USB 2.0 Type B

2000年4月に登場。「USB 1.1」の機能に加え、Hi-SPEEDモードを搭載したことで、データ転送速度が約40倍の480 Mbpsに大幅アップ。

USB 3.0 Type A・USB 3.0 Type B

2008年11月に登場。データ転送速度は、「USB 2.0」の約10倍の5Gbps。この「USB 3.0」から、ソケットの色が青になりました。

USB 3.1 Type C

2013年7月に登場。「USB 3.1 Gen1」と「USB 3.1 Gen2」の2つあり、データ転送速度に大きな違いがあります。前者は「USB 3.0」と同じ5Gbpsであるのに対し、後者は約2倍の10Gbps。
上記の通り、「2.0」から「3.0」、そして「3.0」から「3.1」といったように、数年おきに新たな規格のUSBが登場しますが、大きく変わっているのは「データ転送速度」です。スマホやパソコン、タブレットを使うのが当たり前になっている今、扱うデータの量も増えているのでそれにともないアップデートされていると考えるとわかりやすいかもしれませんね。
また、「3.0」以降はコネクタの色が青になっているものがほとんどなので、「データの転送が遅いな…」と感じた時は、一度確認してみるとよさそうです。

(2)mini USB

「mini USB」は、文字通り「USB」を小型化したもの。ドライブレコーダーやデジタルカメラなどに使われることが多く、以下の2つに分かれます。

mini USB Mini-A

台形を逆さまにしたような形をしているのが特徴。現在は、後述する「mini USB Mini-B」が主流になっているので、ほとんど使われていません。

mini USB Mini-B

台形をさらに変形したような形(凸に近い)が特徴。デジタルカメラなどに使われることが多いですが、最近ではより小型化した「Micro USB」が主流になってきているので、見かける機会は減りつつあります。

(3)Micro USB

「USB」を小型化した「mini USB」を、さらに小型化したのが「Micro USB」です。スマートフォンやタブレットなどで多く採用されています。使用頻度が増えてきているにもかかわらず、小さくて見分けにくくなっているので、見間違わないよう気を付けてください。

Micro USB Micro-A

「USB Type-A」がそのまま小さくなったような見た目で、長方形。

Micro USB Micro-B

「Micro USB」の中でも広く使われているのは、おそらくこれ。台形を少し変形したような形をしていて、スマホの充電などに使われています。

Micro USB 3.0 Micro-B

「Micro USB Micro-A」と「Micro USB Micro-B」を合体させたような特徴的な形をしています。他とはまったく形状が異なるので、見間違うことはなさそうですし、あまり一般的ではありませんが、念のためチェックしておくとよさそうです。

USB選びでは「コネクタのタイプ」が重要

前述の「3.0」などは機能面での違いであり、しかも「1.1」~「3.1」まですべて互換性があるので、よっぽど日常的にデータの転送をする人でなければあまり気にする必要はありません。USBを選ぶ際に重要なのは、「コネクタの形状」です。

Type-A

おそらく「USB」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、この「Type-A」のはず。キーボードやマウス、USBメモリー、iPhoneの充電器(アダプタ側)など、いろいろなところで使われています。「USB1.1」~「USB 3.1」まで互換性があります。

USB Type-B

プリンタやスキャナなどに採用されているのが、「USB Type-B」。「凸」に似た形をしているのが特徴です。このタイプは、「USB 2.0 Type-B」と「USB 3.0 Type-B」では形状が異なり、互換性がないので要注意!

USB Type-C

最新のスマホやApple社製品に採用されているのが、「USB Type-C」です。ほかのタイプは、差し込む際に裏表(上下)に注意しなければいけませんが、このタイプはどちらからでも差し込めるのが特徴。

USBにまつわるトラブルと対処法

USBの種類やそれぞれの特徴を紹介してきましたが、最近は、よっぽど古い電子機器もしくはUSBケーブルを使っていない限り、問題なく使えることがほとんどです。しかし、前述のとおり、付属のUSBとは別のものを使ったときなど、問題なく使えていたはずのUSBが機能しないなんてことも…。ここでは、よくあるUSBトラブルとその対処法を見ていきます。

スマホやデジカメの充電ができない!

ほとんどすべての電子機器には、購入時に充電用のUSBケーブルが付属しています。しかし、純正のケーブルは価格がお高めなので、より安価な類似品を使う人も多いですよね。もちろん、本来であればUSBの端子が同じであれば機能するはずなのですが、安価なものには、基準を満たしていないものもあるので、スマホやデジカメが充電できない要因のひとつと考えられています。また、たとえばiPhoneの場合、「Made For iPhone」などの記載がないものは非対応のこともあるので、要注意です。

スマホ・デジカメからパソコンにデータを送れない!

スマホやデジカメ、タブレットなどの電子機器とパソコンの間で、データを転送するという状況は少なくありませんが、USBケーブルはきちんとつながっているのにデータが転送できないことも。その原因は、おそらくUSBケーブルの用途。
実はUSBケーブルの中には、急速充電できる「充電専用」と「データ転送専用」のものがあり、その場合はどちらか片方の用途でしか使うことができません。ただし、これらの専用ケーブルは見た目にはほとんど違いがなく、見分けるには、購入時のパッケージの記載を確認したり、実際に電子機器に差し込んでみたりするしかないのだとか…。
純正のUSBケーブルは、その電子機器にもっとも適したケーブルといっても過言ではないので、「充電できない」「データが転送できない」といったときには、一度純正のUSBケーブルで試してみるとよさそうです。ちなみに、それでも改善されない場合は、電子機器本体の故障、USBケーブルの故障、コンセントの不具合などが考えられます。
身の回りには様々な電子機器があり、すっかり生活にも溶け込んでいます。「USB」は、それらを使用する際に重要なもののひとつですが、データ転送速度や形状などがバラバラで、その種類は豊富。購入後になって「実は使えなかった」なんてことにならぬよう、今一度、特徴を把握しておくとよさそうです。

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明日陽樹(ぬくい はるき)

編集者・ライター。「明日」と書いて「ぬくい」と読む。『ママテナ』(NTTドコモ)や『FNNプライムオンライン』(フジテレビ)などに寄稿中。