最近、テレビや新聞で「SDGs(エスディージーズ/持続可能な開発目標)」という言葉を耳にしますよね。何となく聞き流している方が多いと思いますが、実はこれ、今後の私たちの生活に関わってくるものです。
ここでは、SDGsとは何なのか、成り立ちや目的など詳しく、そして分かりやすく解説します。
SDGs(持続可能な開発目標)とは?
「SDGs」とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称のことで、2015年9月に開催された国連サミットにおいて採決されました。
国連では地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓いとしており、SDGsはそのために国際社会が目指すべき開発目標を示しています。
MDGs(ミレニアム開発目標)の反省を生かして
ちなみに、SDGsの前身として、2001年に採決された「MDGs」があります。
MDGsとは「Millennium Development Goals(ミレニアム開発目標)」のことで、発展途上国向けに2015年を期限とした「8つの目標」を設定していました。
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- 極度の貧困と飢餓の撲滅
- 初等教育の完全普及の達成
- ジェンダー平等推進と女性の地位向上
- 乳幼児死亡率の削減
- 妊産婦の健康の改善
- HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
- 環境の維持可能性確保
- 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
しかし、残念ながらMDGsの目標は十分に達成されることなく期限を迎えました。
そこで、SDGsはMDGsの反省点を生かし、再構成された目標でもあるわけです。
2030年までに達成すべき「17の目標」
SDGsでは持続可能でよりよい世界をつくるために、「17の目標」と「169のターゲット」を掲げており、2030年までにこれらの目標の達成を目指しています。
では、SDGsで掲げられる「17の目標」を見ていきましょう。
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- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平等と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsの「17の目標」は、MDGsの「8つの目標」を細分化して、21世紀の国際社会が抱える問題をより分かりやすく再構成されていることが見てとれます。
「169のターゲット」は目標を具体化したもの
そして、「169のターゲット」は「17の目標」をより具体的に示したものです。
ただ、「169のターゲット」はとても細かく記載されているので、「17の目標」の1番目に掲げられている「貧困をなくそう」のターゲットをご紹介します。
1.1:2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2:2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3:各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。細々と書かれていると「小難しそう……」な印象を受けますが、ここまで細分化されていることで一見して何が問題なのか、そして何をすべきかが分かりますよね。
日本が、私たちがすべきこととは何か?
今回は、「SDGs(持続可能な開発目標)」とは何か、目的などをまとめました。
国連サミットで採決された……、日本政府が指針を示した……などと言われると、私たちのような個人とは関係のない問題に思いがちでしょう。
しかし、SDGsは10年後、20年後、そして50年後の国際社会を見据えたものです。
私たちが年をとったとき、私たちの子どもが大人になったときに。孫、ひ孫たちが生まれたときに、国際社会に深く関わる問題です。
節水・節電を心がけたり、ゴミの排出量を減らしたり、寄付・募金をしたり。
個人でできることはわずかですが、だからこそ一人ひとりが何ができるのか、未来のために何をすべきなのか。SDGsをきっかけに考えられるといいですね。