日本中を睡眠不足にさせたブラジルW杯は、ドイツの24年ぶりの優勝で閉幕。日本代表"サムライブルー"は残念ながら予選リーグで敗退していましたが、ワールドカップ直前に一人のサムライが、サッカーボールを使って世界中を震撼させたことをご存知でしょうか?

百聞は一見に如かず。まずはぜひこちらのCMを見てみてください。

甲冑に身を包み、フットボールの国で拍手喝采を浴びるサムライの名は、徳田耕太郎。アジア人として初めてフリースタイルサッカーの世界チャンピオン(しかも最年少)に輝いた「世界に誇れる日本人」の一人です。

W杯前には、ブラジル代表のスーパースター・ネイマール選手とも共演しています。すごい!

今回はそんな徳田選手にインタビューを敢行! CM撮影の裏話などをうかがってきました!!

着なれない鎧に大苦戦した撮影

着なれない鎧に大苦戦した撮影

世界のトップ選手には190センチを超えるような大型フリースタイラーが多い。徳田選手は169センチと小柄ながら大型選手と対等に渡り歩ける存在だ。

徳田選手のもとにCMの依頼が届いたのは今年の2月の終わりごろ。「鎧を着て、ブラジルでフリースタイルサッカーをやってもらえませんか」という依頼を受けつつも、「全然出来上がりが想像できませんでしたね。鎧なんて重いだろうし、何もできないんじゃないかなと心配でした」と振り返る徳田選手。

撮影は4月にブラジル・サンパウロにて2日間にわたって行われました。30分程度の衣装合わせを国内で二度試したきり、ほぼぶっつけ本番で行われたという撮影で徳田選手が一番苦戦したのは、やはり着慣れない鎧だったそうです。

「鎧は実はそんなに重くないんです。でもすごくタイトで、肩が上がらなかったり、腰の装飾にボールが当たって思うようなパフォーマンスができない部分もありました。さらに兜は鉄でできていて重い上に視界が狭くて、下は見えるけど上は見えないんです。蹴り上げたボールが全然見えなかったので大変でした」

そんな大変な状況でのパフォーマンスにも関わらず、ブラジルの人々の驚きや喜びの表情は天然のリアクションだったというのですから、徳田選手の実力はホンモノです。ちなみに、犬とボールで戯れるシーンは仕込みだったとのことですが、これが意外にも相当大変だったそうです。

「犬がボールに全然興味を示さなかったんです。ドッグトレーナーさんがハチミツみたいなのをボールに塗ったりして1時間くらい色々試したんですけどうまくいかなくて、結局最初にちょっとだけ興味を持ったところをそのまま使いました。スタッフさんたちはどうしてもこのシーンを撮りたかったみたいで、次の日の撮影でリベンジしたんですけどダメで、すごく大変でした(笑)」

このCMを受けて、徳田選手のもとには「サムライでパフォーマンスをやってほしい」という依頼が殺到したそうですが、「衣装がすぐズレたりするので、なかなか難しいです...。普段の格好でもっとすごいパフォーマンスを見せたいですね」とのことでした。

予想していなかった爆発的再生回数

「サムライ・イン・ブラジル」の動画はTwitterやFacebookで爆発的にシェアされ、2014年7月27日現在の再生数は800万回を突破! コメント欄には海外から寄せられたコメントで埋め尽くされています。

動画の爆発的な人気は徳田選手を始め、関係者も想像していなかったものでした。

「当初の再生回数目標は100万回だったらしいのですが、その目標は1〜2日で到達したみたいです。リリースされた日、僕は中国にいてSNSが使えなかったのですが、帰国してツイッターを見てみると、ものすごくたくさんの人が色んなところで紹介してくれていて驚きましたね。海外のフリースタイラーもたくさんシェアしてくれて、『とうとう本当のサムライになったのか...』とか褒めてくれて、嬉しかったです」

スポーツ関係者はもちろん、スポーツとはあまり関係のない著名人もこの動画を紹介していました。それだけ多くの人に衝撃を与えるCMとなりました。

ちなみにブラジルW杯の決勝があった日にはマカオの有名ホテルでショーを行い、8月にはプラハの大会に出場。世界をまたにかけた活動を続ける徳田選手に、今後の野望を聞いてみました。

「もう一度世界チャンピオンのタイトルを取るために大会にも出ますけど、大会ではできないことにもどんどん挑戦していきたいですね。それこそ今回のCMのように新しいことに挑戦してフリースタイルの可能性を広げつつ、このシーンをもっともっとメジャーなものにしていければと思います」

内に秘めた熱い闘志と野望

取材の受け答えはどちらかというと控えめ。しかし、内に秘めた熱い闘志と野望を持って「フリースタイルサッカー」という道を極めんとする姿は、まさしくCMで演じた「サムライ」と重なります。

フリースタイルサッカーとインターネットの意外な親和性

余談にはなりますが、ITメディアであるエンジョイ!マガジンにピッタリの興味深いエピソードを一つ紹介させていただきます。

中学1年生のときに出会った一冊の本からフリースタイルサッカーにのめり込んだ徳田選手。愛媛県の小さな町で、たった一人で、時には自動販売機の明かりを頼りにして練習に打ち込んだ徳田少年のフリースタイラーとしての成長を大きく助けた存在は、ズバリ、インターネットだったそうです。

「本に載っていた技が全部できるようになって、これからどうしようかなと思っていたときに兄が見つけてきてくれたのが、インターネット上で公開されていた世界のフリースタイラーがアップした動画でした。本に載っているものとは比べ物にならない難しい技がたくさん紹介されていて、今度はそれの習得を目指して練習するようになりました」

世界チャンピオンになったレッドブル主催の大会を知ったのもインターネットでした。17歳のときに初めて出場した国内大会では史上最年少で優勝。3年後の2012年には世界でも最年少王者に上り詰めたのです

徳田選手は振り返ります。

「初めての全国大会に出る前は、5位くらいに入れたらいいなと思っていました。愛媛の田舎でやっている自分が、簡単に勝てるとは思っていなかったんですね。あとで色々考えて、『田舎』というある種隔離された場所で海外選手の動画を見て、『これくらいやらなきゃ勝てない』と思いながら練習していたのが良かったんだと思います。自分では気づかないうちに高いレベルに到達していたのかもしれません。だから世界チャンピオンになれたんだと思います」

フリースタイルサッカーという競技自体、シーンの成長にインターネットが大きく関連するものだそうです。トップ選手たちは自らのパフォーマンスを動画に撮り、YouTubeなどに積極的に公開し、それ見た他の選手たちがまたその動画を越えるような技を磨く――。こうして10年前とは比べ物にならないほどのレベルとクオリティを誇る競技となりました。

フリースタイルサッカーに限らず、スポーツの成熟にインターネットが大きく影響するという事例は今後いっそう増えていきそうです。

徳田耕太郎 選手のフリースタイルサッカー動画はYouTubeで見ることができます

プロフィール

徳田 耕太郎徳田 耕太郎(とくだ こうたろう)
1991年7月21日生まれ。愛媛県出身。アクロバティックな動きを取り入れたダイナミックな足技が持ち味としたプレースタイルを武器に活躍する。現在は日本を代表するフリースタイルフットボーラーの一人として全国各地から世界を舞台に活躍している。愛称は「Tokura(トクラ)」

公式サイト:TOKURA official website
公式Twitter:@tokura0721

ピックアップ

青木美帆(あおき みほ)

ライター/エディター。バスケットボール専門誌の編集部を経て、バスケット、野球、サッカー、その他スポーツや教育の現場を奔走中。目標は日本のバスケット文化を豊かにすること。ITオンチ代表として、身近な疑問をやさしく丁寧に解決します。⇒twitterfacebook

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