物理的な移動が難しくなってきた昨今。離れて暮らす家族や友達と、写真や動画を送り合う機会も増えているのではないでしょうか。
少し前であれば、テキストに写真を貼り付けてメール送信……という方法が一般的だったかもしれませんが、光回線ネットワークが一般家庭にも敷かれていたり、大容量のデータ通信を比較的安価に提供するMVNOが出てきたりしているおかげで、今や動画でのコミュニケーションは一般的になってきています。
リアルタイムでのやりとりが難しいときには、親族とはビデオメールを送り合ったり、FacebookなどSNSでの公開範囲をプライベート設定にして、動画で近況を投稿したり。またビジネスでは、発表会やセミナーなどの動画をクラウドストレージに保存しておいて、URLを発行して各自アクセスしてもらうというスタイルも、珍しくなくなってきました。
とはいえ、あまりに大きな容量の動画を送ると、送信・受信に時間がかかってしまいます。かといって、小さくしてしまうと、画像が粗く、不鮮明になりがち……。
そこで本記事では、「送る」ことを前提に、どのような形式で動画ファイルを保存すればいいのかについて紹介します。
動画のファイルの仕組みを理解する
動画のファイル形式って何?
動画にはさまざまなファイル形式が存在します。ファイル形式は、拡張子(自分で名前を付けて保存した場合、その名前の後ろについている「.」とそれに続く3文字程度のアルファベット。例「.zip」「.docx」)で見分けられます。
※拡張子が表示されていない場合、過去記事を参照ください。
→あなたは「拡張子」表示派? それとも非表示のまま?
そして、特定のファイル形式と、それを開くアプリは紐づいており、ひとつの動画閲覧アプリでどの動画ファイルでも開ける、というわけではありません。
これが、動画を保存するときの悩みのタネといえるでしょう。
動画のファイル形式には何があるか
すべてのファイル形式を紹介するのは難しいですが、代表的な動画ファイル形式とその特徴は以下のとおりです。
- MOV
Appleが開発したMac標準のファイル形式。Windows PC標準のWindows MediaPlayerや映画&テレビでも開けるが、QuickTime Playerがあると安心。拡張子は「.mov」
- WMV
Microsoftが開発したファイル形式。DRM(Digital Rights Management。簡単にいえば、コピーガード機能)を付加することもできるため、動画配信サービスで使われることも多い。拡張子は「.wmv」
- FLV
アドビシステムズが開発したファイル形式で、「Flashコンテンツ」とも呼ばれる。ファイル容量が軽く、なおかつ美しい映像を表現できたため広く用いられてきたが、HTML5の発展とともに廃れてしまい、AdobeはFLV形式の動画を再生するAdobe Flash Playerのサポートを20年12月31日に終了。以降、主なブラウザでFlashコンテンツを閲覧できなくなった。拡張子は「.flv」
- AVI
Microsoftが開発したWindows標準のファイル形式。汎用性が高く、さまざまなコーデック(後述)の動画を格納可能。拡張子は「.avi」
- MPEG4
OSを問わずさまざまなアプリで閲覧できるため、広く普及しているファイル形式。圧縮率が高いのに、画質の劣化が少ないのも特徴的。後述するコーデックMPEG-4と似ているため混同しがち。拡張子は「.mp4」
▲いろいろなファイル形式があります
Windows Media Playerでは、拡張子「.wmv」のファイル形式の動画のほか、Windows Media形式(.asf、.wma、.wm)、Audio Visual Interleave(.avi)、MPEG(.mpg、mpeg、m1v、.mp2)、MP4ビデオファイル(mp4、m4v、.mp4v、.3g2、3gp2、3gp、3gpp)などを開くことができます。
QuickTime Playerでは、拡張子「.mov」のほか、大半のMPEG形式(.mp4、m4v、.m4a、.mpg)や一部のAVI形式の動画ファイルを開けます。
動画の圧縮って何?
動画ファイルの保存を語るうえで欠かせないもう一つの要素が「コーデック」というものです。
動画や音声データを圧縮・解凍することをそれぞれエンコード(圧縮または符号化)・デコード(解凍または復元化)といい、それらを行うプログラムまたはその方式のことを「コーデック」と呼びます。
圧縮とは、簡単に言えば、人間の目ではわかりづらい“違い”を間引いてデータ容量を少なくすること。間引くデータが多ければ多いほど、容量は少なくなりますが、そのぶん画質は低下します。
では、圧縮率が高く、データ容量が小さければ、画質が悪くなるか、というと必ずしもそうとは限りません。というのも、圧縮方法も年々進歩しており、最近では高圧縮率であるにもかかわらず、高画質の動画として保存できるコーデック方式も出てきているからです。
そして、コーデックにはテレビやBlu-ray画質のH.264のほか、H.264の後続にあたるHEVC(H.265)(H.265/HEVC、HEVC/H.265という表記も)、DVD画質で圧縮できるMPEG-2、MPEG-4、パラパラマンガのように連続した画像を表示するMotion JPEG、Windows独自のWMVなどさまざまな方式が存在しています。
動画のファイル形式とコーデックとの関係は?
さて、動画を保存する際に、「ファイル形式」と「コーデック」というふたつの要素を考える必要があることがわかりました。この両者は具体的には、動画保存とどのような関係があるのでしょうか。
それは、中身と入れ物という関係です。
コーデックで圧縮した動画データを入れておく入れ物、容器(以下、コンテナ)の種類が「.wmv」や「.mp4」といった拡張子で表されるファイル形式、というわけです。
同じMotion JPEGで圧縮したデータでも、.aviで保存すれば(.aviというコンテナに入れれば)Windowsでの再生に、.movで保存すれば(.movというコンテナに入れれば)Macでの再生に適したファイルになる、ということですね。
とはいえ、コーデックの方法によってコンテナの種類も異なってきます。
代表的なものを表にまとめてみました。
コーデック | コンテナ(ファイル形式の拡張子) |
H.264 | .mp4、m2ts、.m4v、.avi |
HEVC(H.265) | .mp4、.avi、.mov |
MPEG-2 | .mpg、.m2v |
MPEG-4 | .mp4、mpg、.3gp |
Motion JPEG | .avi、.mov |
それぞれのコンテナには、異なる拡張子が付されており、それがアプリとひもづいています。ファイルをダブルクリックすることで、自動的にアプリが起動するのは、そのためです。
しかし、同じ「.mp4」という拡張子でも開けないファイルがときどきあります。それは、そのアプリが対応していないコーデックで、そのファイルが作られたからです。上の表の通り、たとえば「.mp4」の拡張子を持つファイルは、複数のコーデックから作ることができます。そのファイルを展開(解凍)するプログラムがアプリに組み込まれていないと、開くことができないのです。
そのことも頭の片隅に置いておきながら、動画のコーデックとコンテナ(ファイル形式)の組み合わせを考える必要があります。
どの組み合わせで保存すればいいのか
それでは、どの組み合わせで動画を保存すればよいでしょうか?
PC、スマホ問わず、幅広いOS、さまざまなプレイヤーに対応しているのが、拡張子「.mp4」のファイル形式です。そして、圧縮率が高く、スマホやPCでの視聴にも耐えられるコーデックがH.264。ネットでのやり取り、YouTubeに掲載するといった用途であれば、この組み合わせで保存すれば、まず間違いないでしょう。
送信相手がWindows以外であれば、HEVC(H.265)でコーデックして「.mp4」のファイル形式で保存するのがよいでしょう。Windowsでも開けますが、拡張機能をインストールしておく必要があります。
なお、iPhoneではiPhone 8/8 Plusから(厳密にいえばiOS 11から)、撮影した動画をHEVC(H.265)、コンテナは「.mov」で保存できます。これにより、H.264より圧縮率が高い動画を、ストレージ容量を圧迫せずに保存できるようになった、とAppleでは説明しています。
iPhoneで撮影した動画を、Windowsユーザーに送る場合、あらかじめ写真の設定から、「互換性優先」を選んでおいたほうが無難でしょう。
HEVC(H.265)で撮影してしまったとしても、共有相手に応じて、互換性のあるコーデックに変換されるので安心です。
まとめ
動画ファイルには、コーデック(圧縮と解凍のプロセスの組み合わせ)とコンテナ(圧縮したデータを入れておく入れ物。PCなどでは拡張子の付されたファイルアイコンとして表示される)の組み合わせがあり、それによっては再生できない端末があるということがわかりました。
また、圧縮率が高く(データ容量が小さい)、それでも画質が劣化しないコーデックと、端末を選ばず再生できるファイル形式の組み合わせには、「H.264と.mp4」があるということもご理解いただけたのではないかと思います。
動画を気軽に撮影して送れるようになった今、楽しい動画ライフを送りたいですね。
インターネットを最大限楽しむには「ビッグローブ光」の光回線がオススメ!
「インターネット回線が遅い」
「インターネット料金が高い」
などのお悩みはありませんか?
安定した速度とリーズナブルな光回線なら、
IPv6接続(IPoE方式)*1で最大1Gbps*2の「ビッグローブ光」がオススメです。
「ビッグローブ光」なら他社の光回線(フレッツ光・コラボ光)をお使いでもお乗り換えはかんたんです。
工事費実質無料、おトクな特典もご用意しています。
*1 IPv6に対応していないサービス/サイトはIPv4接続となります。
*2 最大通信速度は光回線タイプによって異なります。最大通信速度はお客さまのご利用機器、宅内配線、回線の混雑状況などにより低下します。
ビッグローブ光について詳しく知りたい方は、こちらのバナーをクリック!