複数のクラウドサービスを断然使いやすくする「MultCloud」とは?

写真や書類を保存しておくのに便利なクラウドストレージサービス。でも、どこに何を保存したのかわからなくなったり、ファイルを移動したいと思うことがあるかもしれません。そんなときに便利なツール「MultCloud」をご紹介します。

Androidスマホを持っていれば、撮った写真はGoogle フォトへ、PCでMicrosoft Officeを使っていれば、OneDriveへ、Amazonのプライム会員ならAmazon Driveを利用しているかもしれません。
DropboxやMEGA、Box、SugarSyncなど、無料プランを使っているうちに、どこに何を保存したのかわからなくなってしまった……そんなことはありませんか?
また、今まではDropboxにもWordドキュメントやExcelブックを保存していたけど、Office系ファイルはOneDriveに、それ以外はDropboxにまとめたい、ということもあるでしょう。
でも、利用しているクラウドサービスをひとつずつ開いて検索したり、異なるクラウドサービス間でファイルを移動し直すのは手間がかかりますよね。
そんなときにぜひ使ってほしいのが「MultCloud」です。

MultCloudって何ができるの?

MultCloudは、各種クラウドストレージサービス間でファイルを転送し合えたり、横断してファイル検索のできるサービス。ひとつのフォルダのように各サービスを扱えるため、ファイル管理しやすいという特徴があります。
また、あるクラウドストレージサービスと別のサービスでファイルを同期させることも可能。鉄壁のバックアップができる、というわけです。

無料でも十分使える

MultCloudには、無料プランと有料プランがあり、無料プランではクラウドストレージサービス間の転送は50GB/月。有料プランは以下のようになっています。

転送量/月 利用料/支払い単位 月換算
150GB 9.9ドル/月 9.9ドル
200GB 24.9ドル/四半期 8.3ドル
400GB 89.9ドル/年 7.5ドル
無制限 119.9ドル/年 9.9ドル

ストレージ間の転送量が多いのであれば、無制限プランを契約するのもアリかもしれませんが、一旦、設定が終わってしまえば、後はそれほどファイルの移動は発生しないもの。気長に毎月50GBずつ移動させるのであれば、無料プランでも十分使えるのではないかと思います。

MultCloudを使ってみる

それでは早速MultCloudを使う方法を見ていきましょう。

まずはセッティングしよう

1.アカウントを作成する
まずは、MultCloud( https://www.multcloud.com/jp/ )にアクセスして右上の「登録」または右下の「アカウントの作成」からアカウントを新規作成します。

登録する電子メールアドレス、ユーザー名、パスワード(誤入力防止のため2回)、認証コード(ロボットではないことを確認するためのもの。右に表示されている少々読み取りづらいアルファベットと数字から成る4文字)を入力して「アカウントの作成」をクリックします。

登録したメールアドレスに「MultCloudへようこそ」というメールが届くので「アカウントを有効化」ボタンをクリックしましょう。

MultCloudがWebブラウザーで開き、アカウント作成に成功したことが表示されます。「サインイン」ボタンをクリックして、先程登録したメールアドレスとパスワードでログインしましょう。

2.クラウドストレージサービスを追加する
アカウントを登録できたら、次は普段利用しているクラウドストレージサービスの登録です。
サインインしたら、左側のエクスプローラーバーに表示されている「クラウドを追加」をクリックしましょう。

追加したいクラウドを選択します。ここではDropboxを選択してみました。選択すると、アイコンの右肩に赤いチェックマークが入ります。そのまま「次へ」進みましょう。

MultCloud上で識別できるよう、名前をつけることができます。デフォルトでは、サービス名の「Dropbox」が入力されていますが、変更する場合は任意の文字列を入れましょう。その後、「Dropboxアカウントの追加」をクリックします。

MultCloudとリンクするためDropboxサービスへのログイン画面が表示されます。ログインして、リンクを完成させましょう。

無事に、普段使っているDropboxをMultCloudに追加することができました。ほかのサービスも、同様の手順で追加していくことができます。

なお、ここでDropboxのファイル管理や操作ができるからといって、これまで利用していたDropboxのデスクトップアプリケーションや、Webブラウザを使ってのDropboxへのアクセスができなくなる、というわけではありません。あくまでも、MultCloudサービスでも使えるようになった、というだけなので安心してください。

使ってみよう

準備が整いましたので、実際に使う方法を確認してみましょう。
1.ファイルを転送する
GoogleDriveにあるファイルをひとつOneDriveに転送してみます。
まず、移動したいファイルが表示されるようエクスプローラーを操作します。通常は、左側のエクスプローラーバーからクラウドストレージサービスを選択し、表示されたフォルダから目当てのものをダブルクリックしていけばたどり着けます。

表示されたファイルを、転送先のクラウドストレージサービスへドラッグアンドドロップします。

右下に表示された「プログレスバー」の動きが止まったら、転送先のクラウドストレージサービスをエクスプローラーバーから開いてみましょう。

先程のファイルが表示されているのがわかります。

とはいえ、この転送はクラウドストレージサービス間での「コピー」でしかないため、「移動」したいのであれば、転送元のファイルは削除する必要があります。フォルダ単位でもできるため、移動したいファイルをあらかじめまとめておくのがいいかもしれませんね。
2.ファイルを検索する
MultCloudでは、クラウドストレージサービスを横断したファイル検索も行えます。
アドレスバーの右に表示されている虫眼鏡アイコンをクリックしましょう。

表示された検索ウィンドウ上で、検索したいクラウドストレージサービス名を選択し、検索したいキーワードを入力して「検索」します。

複数クラウドストレージサービスの中から検索することができました。

今のところ、タイトルのみが検索対象となっており、全文を検索できないのが少し残念です。
3.ファイルをダウンロードする
検索したファイルのひとつをダウンロードしてみましょう。検索結果から直接できないため、次のような手順を踏みます。
ダウンロードしたいファイルの「パス」をクリックします。

ファイルが実際にある階層が表示されました。ファイルを右クリックして表示されるショートカットメニューから「ダウンロード」を選択して、任意の場所に保存しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。MultCloudを使えば、まるで複数フォルダをデスクトップで扱っているかのように、複数のクラウドストレージサービスを操作・管理できることがおわかりいただけたのではないかと思います。
できればシンプルに、ひとつのサービスだけで完結させたいところですが、なかなかそれが難しい、と感じているのであれば、使ってみるのはいかがでしょうか。

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渡辺まりか

デジタルガジェットをこよなく愛するフリーライター。専門学校で約10年の講師経験あり。小型船舶操縦士免許2級、乗馬5級、普通自動二輪免許など趣味多し。