「人は誰だって組織の一員(Member)」をコンセプトに、グループなど組織に所属する一人にスポットを当てるドキュメント企画「Member」。第五弾は11月25日にメジャー2枚目のアルバムをリリースした九州発のアイドルグループ・LinQ所属の山木彩乃さん。組織の中で生きる中、自分との戦いを繰り広げていた彼女が手に入れた立ち位置とは。

山木彩乃

「君、何かやってた?」
レコーディングの途中、突然呼び止められた。しまった...。隠していたのにまた癖が出てしまった...。
私はいつもこうなんだ...

オーディション、スカウト、下部組織からの抜擢...アイドルグループの加入経緯はさまざまであり、入りたいからといって入れるもの、ではない。そこには必ず一定の選考が入る。九州発のアイドルグループ・LinQも2011年2月、応募総数1162通にも及ぶオーディションを経て結成され、以後も追加メンバーはオーディションによって選ばれてきた(2015年5月には同事務所の研究生グループであるBudLabから2名が加入)。

2011年12月にLinQに加入した山木彩乃は、他のメンバーと比べやや特殊だった。

「小さいときから子役をやっていて。女優さんになりたくてずっと芸能事務所でやっていたのですが、本気で目指そうと思って、兄も俳優を目指して芸能コースに行っていたので私も追いかけて、熊本からずっと福岡の学校に通っていたんです。

そこで外部からいらしていたギターの先生から『今度新しくできたグループのライブに行ってみない?』と言われて。私、そのときは何にでも挑戦するという精神で、女優に関するものを中心にたくさんオーディションを受けていたんですよ。で、先生に言われて『行こう』って思って。」

それが、女優を目指していた彼女にとってのアイドル、そしてLinQとの出会い、だった。

「『さくら果実』を初めて見たときは『かわいい』と思って、『Pretty Woman』を見たときは『表現力すごいな』って。私は幼稚園の時からダンスをやっていたので、『アイドルってさあ、ダンスできないんでしょ?』みたいな(笑)、上から目線で行ったんですよ。LinQに入る気もなくて。何か挑戦できるチャンスがあればいいし、ダンスもSOさん(※)が教えていたから、そこを見極めようじゃない?みたいな上から目線で行ったら、『Pretty Woman』がカッコよくて。原(直子)さんのダンスがエロかったんですよ(笑)。」
※LinQを手がける振り付け師でありダンサー。詳細はこちらの記事にて
ダンス文化の変化と「生き方」(ダンサー・SO)【福岡にリンク】

「Pretty Woman」は一種の失恋ソングだが、曲調といい詞といい決してセクシーな曲ではない。原直子も年長メンバーではあるがセクシーさにあふれている容姿というわけでもない。ただ、それをエロく見せることのできる表現力の幅が彼女には衝撃だった。

「そうなんですよ。それにとても衝撃を受けて『振り付けとかちゃんとしているし、すごい』と思って、そのときはまだ入るつもりはなかったのですが、帰るときに書類を渡されて『これにサインして』と言われて『あ、わかりました』みたいな感じでサインしたら契約しちゃってて(笑)。」

当時彼女は別の事務所に入っていてLinQには派遣という形で所属していたが、やがてその事務所が福岡から撤退したため、彼女はLinQ一本で勝負することになった。ただ、それは同時に彼女にとって自分との戦いの始まりだった。

山木彩乃


「みんなオーディションで勝ち残った子たちで、とてもやる気満々だったので私も負けてられないなって思って。スカウトしてくださった先生から『腐ったらダメだよ』と言われていて。『本気でやりたいと思っている人たちがここにいて、彩乃はスカウトされて入ったけれど、ここで腐ったらどんどん追い抜かされていくし、手を抜かずに続けたら伸びるからね』って言われて。(追い抜かされるのは)絶対イヤだ、腐りたくないって思って。スカウトだからって調子に乗るとかそういうのも絶対イヤだったので、みんなと同じ練習してみんなと同じ場所にいて。

ずっと気にしていたんです。私だけスカウトで入ったから周りの子たちはやっぱりそういう目で見るじゃないですか。『あの子はいいよね』みたいな。それは若干感じていた部分もあったのですごくイヤで。」

オーディションで選ばれるメンバーがいる一方で自分はスカウトされて入った。それは誇らしいことだ。ただ、彼女はそれを「後ろめたさ」にとってしまった。他のメンバーと違って「自分だけが」という。

「東京に行ける遠征メンバーとかって限られるじゃないですか。私が選ばれていた時期は自信がないときだったから『私、何で選ばれているんだろう?』とずっと疑問だったんです。遠征に行っても福岡に帰りづらかったり。で、新しいメンバーが入ってきたときに初めてジャケットとPVから私が外れたときがあって、それでさらに自信がなくなって。どこで自信つけよう、って思ったらライブがとても好きなのでライブで、って思ったのですが、ライブでもマイク持っていなかったので、存在感も出せなくて。それでどんどん自信がなくなっていっていたんですよね。」

山木彩乃


実際周りの目がどうだったかはわからないが、例えば「選ばれていいよね」と言われても、それが褒め言葉だったとしても、嫌味にとってしまうこともできる。彼女の後ろめたさが、彼女をより苦悩させていった。

そして彼女にはもう一つ、後ろめたさがあった。

「私、ちょっと個性的な歌い方というか、元々演歌をやっていてこぶしとかが入っちゃうんですよ。それを、『ソロパートの時は出していいけれど、集団行動なんだからメンバーと一緒のときは出さないで』と言われていて、『私は下手なんだ』とずっと思い込んで。マイク持っても『持っちゃいけない』って思って薄く歌ったり、口パクしていたこともあったんです。」

───私は下手なんだ、だから自分の個性は出しちゃいけないんだ───

「自分は前に出る性格ではなくて『どうぞどうぞ』みたいな感じで人に譲っちゃうし、自分にとても自信がなくて、元々ネガティブでとても悪い要素ばかりの女の子なんですね。でも、どうにかそれを隠そうと思ってずっと(LinQで)やってきていたんです。」

2014年にLinQのライブで初めて山木彩乃を見たときに感じたのは、ものすごいポテンシャルがある、何かを秘めている、ということだった。ただ、ポテンシャルがあるというのは褒め言葉でもあるが、「能力を出しきれていない」と捉えることもできる。この場合は後者だった。しかもそこには見ていてもどかしさすらあった。何か、何かがあればもっと一気に行ける、覚醒する...。パフォーマンスは素晴らしいが、見ていてそこにはどこか力みがあった。思えばそれは「隠そう」という力みだったのかもしれない。歌い方の癖、自信のなさ、存在...

LinQに入って後ろめたさや自信のなさを背負いつつも、そんな自分を隠し、個性を隠し、負けずに、腐らずに戦ってきた彼女。しかし、やはりそれはいつまでも続くものではなかった。

そんな彼女にやがて大きな転機が訪れた。彼女に用意されたのは、どこにも逃げようも隠れようもない場所と日々、だった。そしてそれは同時に、逃げ、隠れてきた自分との壮絶な戦いの始まりだった。

山木彩乃

続編を公開しました


ライブ情報

2016年1月9日(土)二部
LinQ第750回 山木彩乃Birthday公演「Ayano Yamaki Shines Forever 20th anniversary party」
http://ameblo.jp/loveinq/entry-12086349694.html

公演の模様をライブ配信することが決定しました!

http://ameblo.jp/loveinq/entry-12114527152.html

「LinQ 全国出前公演~始めました~」
※全国出前公演の情報は以下のURLで随時更新
http://ameblo.jp/loveinq/entry-12102023471.html

【2016年1月】
2016年1月28日(木)【関東】開催予定
2016年1月29日(金)【名古屋】大須TOYS
2016年1月30日(土)【京都】※後日発表
2016年1月31日(日)【大阪】HOLIDAY OSAKA

【2016年2月】
2016年2月11日(木)【関東】開催予定
2016年2月12日(金)【京都】京都MOJO
2016年2月13日(土)【兵庫】※後日発表
2016年2月14日(日)【大阪】※後日発表

2016年2月19日(金)【熊本】B.9 V2
2016年2月20日(土)【宮崎】SR-BOX
2016年2月21日(日)【鹿児島】SR HALL

2016年2月25日(木)【関東】開催予定
2016年2月26日(金)【千葉】ANGA
2016年2月27日(土) ※後日発表
2016年2月28日(日)【神奈川】横浜BAYSIS

【2016年3月】
2016年3月4日(金)【佐賀】GEILS
2016年3月5日(土)【長崎】Drum Be-7
2016年3月6日(日)【大分】Drum Be-0

2016年3月10日(木)【関東】開催予定
2016年3月11日(金  ※後日発表
2016年3月12日(土)【愛媛】松山 KittyHALL
2016年3月13日(日) ※後日発表

「LinQ NEW ALBUM「FRONTIER~LinQ 第三楽章~」初回限定盤A/B付属Blu-ray ダイジェスト映像

リリース情報

LinQ

LinQ メジャー2ndアルバム 「FRONTIER~LinQ 第三楽章~」

発売日:2015年11月25日
ワーナーミュージック・ジャパン

【初回限定盤A】
価格:\4,167(本体)+税 WPZL-31116/7
<CD>
1.ハレハレ☆パレード
2.Baby
3.LinQuest ~やがて伝説へ・・・
4.telephone
5.マイ・フェイバリット・ソング
6.ウェッサイ!!ガッサイ!!
7.アイ、スクリーミン。
8.ナツコイ
9.ハピ☆デリ
10.My Letter
11.White Drops
12.FRONTIER

<Blu-ray>
LinQの「わ」拡大!! ~海外編~
ドキュメンタリー映像収録


【初回限定盤B】
価格:\4,167(本体)+税 WPZL-31118/9
<CD>
1.ハレハレ☆パレード
2.Baby
3.LinQuest ~やがて伝説へ・・・
4.telephone
5.マイ・フェイバリット・ソング
6.ウェッサイ!!ガッサイ!!
7.アイ、スクリーミン。
8.ナツコイ
9.ハピ☆デリ
10.My Letter
11.White Drops
12.FRONTIER

<Blu-ray>
1.ナツコイ -Music Video-
2.ウェッサイ!!ガッサイ!! -Music Video-
3.ハレハレ☆パレード -Music Video-
4.LinQuest~やがて伝説へ・・・ -Music Video-
5.ナツコイ -Dance Video-
6.ウェッサイ!!ガッサイ!! -Dance Video-
7.ハレハレ☆パレード -Dance Video-
8.LinQuest~やがて伝説へ・・・ -Dance Video-


【通常盤】
価格:\3,000(本体)+税 WPCL-12271
<CD>
1.ハレハレ☆パレード
2.Baby
3.LinQuest ~やがて伝説へ・・・
4.telephone
5.マイ・フェイバリット・ソング
6.ウェッサイ!!ガッサイ!!
7.アイ、スクリーミン。
8.ナツコイ
9.ハピ☆デリ
10.My Letter
11.White Drops
12.FRONTIER

【九州盤】
価格:\3,241(本体)+税 WPCL-12269/70
<CD1>
1.ハレハレ☆パレード
2.Baby
3.LinQuest ~やがて伝説へ・・・
4.telephone
5.マイ・フェイバリット・ソング
6.ウェッサイ!!ガッサイ!!
7.アイ、スクリーミン。
8.ナツコイ
9.ハピ☆デリ
10.My Letter
11.White Drops
12.FRONTIER

<CD2>
1.HYBRIDOLL/桃咲まゆ
2.SUMMER DAYS/天野なつ
3.N and F/深瀬智聖
4.SHAKARIKI GROOVY/志良ふう子、新木こころ(Fu-Coco)
5.Hands/一ノ瀬みく

■Information■

LinQ OFFICIAL WEB
http://loveinq.com/

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編集部有本

元エンジョイ!マガジン編集長(2014年10月時点)。かつてBIGLOBE MUSICを担当していた経験を活かし、よりエンジョイ!でウェッサイ!!なマガジンを目指していきます。

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