病院に行ったとき、「携帯電話の使用は控えなきゃ」と思うはずです。
「もちろん!」「それがマナーだよね?」と思う人は多いかもしれません。が、最近はそこまで厳しく考えなくても大丈夫になってきているのです。
2014年8月19日、電波環境協議会は、病院での携帯電話の使用は場所によって、そして使い方によってはOKであるという内容を含む新たな指針「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」を発表しました。
同協会は、総務省などの省庁や通信企業・有識者などで構成される団体で、これまでにも病院での携帯電話の使い方に関する指針を発表。今回、様々な背景を踏まえて、新たな指針の発表に至ったようです。
では、その背景とは? そして新たな指針で、私たちが知っておくと良い部分は? 今後、病院で迷うことがないよう、基本的なルールを知っておきましょう。
指針が変わったいきさつ
これまで、医療機関での携帯電話の使用について、前述の電波環境協議会は「診察室や病室では電源を切ること」という指針を示してきました。
医療機関は各施設で指針に応じてルールを定めています。ゆえに、病院を訪れる人は「病院で携帯の使用はNG」という認識を持っているケースが多いと思います。
しかし、時が流れ、状況は変化しました。
携帯電話の普及、第二世代の携帯電話サービスの廃止、医療機器の電磁的耐性に関する性能の向上などから、これまでの指針を見直す必要が問われ始めたのです。
そこで、電波環境協議会は2014年6月に指針案を発表。7月22日まで意見を募集した後、新たな指針を発表するに至ったというわけです。
今回の指針では、医療機関内のエリアに応じて、適切な使い方が記されています。以下に、ポイントをまとめてみました。
携帯電話・スマホの利用がOKのエリア
- 待合室・ロビー・食堂・廊下・エレベーターホールは、通話・メール・ウェブサイト閲覧、どれもOK
- 病室では、メールやウェブサイト閲覧はOK
- 診察室では、使用を控えることが望ましいものの、電源を切らなくてもOK
もちろん、いずれもマナーに配慮することが前提です。
また、医用電気機器を使用している患者さんがいる場合などは、医用電気機器から設定された離隔距離以上離すことが原則とされています。診察の妨げになったり他の患者さんの迷惑になったりしないよう、配慮することも大切です。
携帯電話・スマホ不可のエリア
- 手術室や集中治療室、検査室などは使用不可
このエリアで使用されている医用電気機器には、生命維持管理装置など、影響が発生した場合のリスクが非常に大きいことから、携帯電話使用は原則禁止とされています。
また、待ち受けの状態でも電波を発することがあるため、必ず電源を切るか機内モードにすることが求められています。
ちなみに、医療機関によっては、OKエリアとNGエリアが一目で分かるポスターやマークを壁などに表示しています。
録音・カメラ機能を使うのは控えよう
このように、以前に比べて、携帯の使用OKとされる範囲はかなり広まりました。
が、録音・カメラの使用は原則として控えることが適切とされています。
病院で録音する人はめったにいない気がしますが、「病院に来ています」「今日は◯◯の治療でした」などとブログやSNSに掲載するために写真を撮る人は、いなくはなさそうですよね。
誰の顔を撮るわけでもないし一瞬だし、と気にせず撮っている人もいるかもしれませんが、原則禁止なので注意してくださいね!