「ホームページ」って本来どんな意味?「個人HP」って知ってる?

実は複数の意味を持つ「ホームページ」という言葉を説明。もともとの意味をはじめ、昔懐かしい「個人ホームページ」についても振り返ります。

突然ですが、質問です。
あなたは「ホームページ」と聞いて、まず何を想像しますか?
きっと多くの人が、インターネット上の「Webサイト」を想像したはず。でも一方では、Webブラウザの起動時に表示される「ポータルサイト」を思い浮かべた人もいるのではないでしょうか。あるいは、往年の「個人ホームページ」を想像した人もいるかもしれません。
実は複数の意味合いを持つ、「ホームページ」という言葉。
ところが最近は、この言葉をあまり聞かなくなりました。
インターネット上のページは「Webサイト」と呼ぶようになり、「公式ホームページ」よりも「公式サイト」という言い回しのほうが一般的に。個人が情報発信をする場所はSNSやブログが中心となり、「個人ホームページ」は今や懐かしまれる存在になりつつあります。
今回の話題は、そんな「ホームページ」について。
「ホームページ」という言葉がどのように使われていたのかを整理しつつ、2000年代前半頃のインターネットを賑わせていた「個人ホームページ」にも言及していきます。

複数の意味を持つ「ホームページ」という言葉

今では「Webサイト」の同義語として使われている印象も強い、「ホームページ」という単語。ですが、もともとは限られた一部のWebページを指す言葉でした。ASCII.jpデジタル用語辞典では、次のように説明されています。
Webサイトの入り口となるトップページのこと。HPと表記する場合もある。Webページ、Webサイトと同義で扱われることもある。ただし、本来のホームページは、Webブラウザーを起動したときに最初に表示されるように設定しているWebページのこと。
(ASCII.jpデジタル用語辞典より)
「ホームページ」は当初、Internet Explorerなどのブラウザを起動したときに表示されるページを指すものでした。この「ホーム」にYahoo! JapanやGooなどを設定しており、「ホームページ=Yahoo!のトップページ」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
しかしやがて、インターネット上でアクセスできるWebサイトを指して「ホームページ」と呼ぶようになります。特に企業や団体が運営するサイトは「公式ホームページ」と、個人が運営するサイトは「個人ホームページ」と区別されるようになりました。
それだけではありません。他方では、ある特定のWebページにおける「トップページ」を指して「ホームページ」と呼ぶこともあります。
たとえばこの「エンジョイ!マガジン」の場合、「https://enjoy.sso.biglobe.ne.jp/」のアドレスで見られるトップページが「エンジョイ!マガジンのホームページ」、もしくは「https://www.biglobe.ne.jp/」のアドレスを、「BIGLOBEのホームページ」として捉えることもできますね。
今でもこの意味は失われていませんが、近頃は「トップページ」を指して「ホームページ」と呼ぶような機会は減ったように思います。どちらかと言えば「Webサイト」と呼ぶことが多く、「ホームページ」という表現には若干の古さを感じる──。そのような印象すらありますね。

昔懐かしい「個人ホームページ」の世界

インターネットが一般にも広く普及すると、個人でも簡単にホームページを作れるサービスが次々と登場します。30代くらいの方の中には、Yahoo!ジオシティーズなどのサービスを使って、自分のホームページを制作・運営していた人も多いのではないでしょうか。
かくいう私も、個人ホームページを作って遊んでいた時期があります。
中学校の情報の授業で習ったHTMLの知識を用いて、ホームページを開設。好きで見ていたアニメやマンガのファンサイトの見様見真似で、試行錯誤しながらホームページを作っていました。
自分はイラストを描くことができないため、ホームページに掲載していたのは日記をはじめとする読み物ばかり。ただし日記と言っても私生活の話ではなく、自分が遊んでいるゲームの攻略情報やマンガの感想を書いていました。個人運営の、ゆるい「攻略サイト」のイメージですね。
あるいは「個人ホームページ」と聞いて、その独自の文化や交流を思い出す人も少なくないのではないでしょうか。特に何らかの「ファンサイト」を作っていた人には、きっと心当たりがあるはず。
荒らしを避けるために設置された、トップページのダミーエンター。限定コンテンツを仕込んだ、隠しリンク。アクセス数がキリの良い数字だったときにお祝いする「キリ番」文化に、同じ趣味嗜好を持つ者同士でリンクやバナーを貼って交流する「同盟」のコミュニティ──などなど。
また、当時はTwitterもFacebookもなかった時代。他の人とコミュニケーションをするには、掲示板やチャットやメールなどのツールを用いる必要がありました。
レンタル式の掲示板やチャットを自分のホームページに設置し、そこで訪問者と交流していた格好。私自身、当時はチャットに入り浸っていた覚えがあります。学校の狭い世界しか知らなかった中学生の自分には、顔も名前も知らない誰かと交流できるのが最高に刺激的で楽しく感じられたんですよね。
……荒らしにはうんざりさせられていましたが。

Yahoo!ジオシティーズ終了と、移り変わる言葉の意味

そんな「個人ホームページ」を象徴するサービスのひとつに、先程も言及した「Yahoo!ジオシティーズ」があります。
2000年頃から運営されてきた無料のWebサイト提供スペースであり、長年にわたって日本のインターネットカルチャーを支えてきたサービス。当時まだ若かった頃に利用していたユーザーの中には、「黒歴史が残っているんじゃないか……」と戦々恐々としている人もいるのではないでしょうか。
ですが、そんなYahoo!ジオシティーズも、2019年3月末をもってサービスを終了。すでに新規登録や”ホームページ”の閲覧はできなくなっており、現在はデータのダウンロードと削除のみが可能となっています。あとは2020年3月末を待って、全データが削除される予定です。
00年代にインターネットを楽しんでいた人たちにとっては、ひとつの時代の終焉とも言えそうですね。黒歴史が永久に消えることに安堵しつつも、やっぱり寂しさも感じます。自分の運営していたホームページのデータを残したい人は、忘れないうちにダウンロードしておきましょう。
今となっては廃れつつある「ホームページ」がある一方で、今なお使われ続けている「ホームページ」という言葉がある。このように、長い期間を経て複数の意味を持つようになった言葉は、インターネットに関係する単語だけでも他にもいろいろありそうです。
たまには、そんな「言葉」に思いを馳せてみるのもいいかもしれませんね。

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けいろー(@Y_Yoshimune)

フリーライター。ネット大好きゆとり世代。趣味のブログをきっかけに依頼をもらうようになり、勢いで独立。書評・アニメ・グルメ・旅行など何でもござれ。 ⇒ぐるりみち