新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生をきっかけに、ひとつの働き方としてすっかり定着したテレワーク(在宅勤務)スタイル。
テレワークの特徴として、自宅でこなす業務の幅が広くなったことがあげられます。メールやメッセージアプリでの簡単なやりとりに加えて、ビデオ通話での打ち合わせ、業務資料の送受信、オフィス内のパソコンへのリモートアクセスなど、自宅での業務は多岐にわたります。
こうした“インターネットを活用した働き方”にシフトする際、あらためて見直したいのが通信環境です。
テレワークでもストレスなく仕事をするため、自宅に確保すべきインターネット通信回線の要件とはどういったものでしょうか?
まず通信速度と通信量を意識すべし
テレワーク導入に際した通信環境の見直しで、まず押さえるべきポイントが、インターネット接続時の通信速度と通信量です。
ビデオ会議で推奨される通信速度を基準にする
テレワークに含まれる作業の中でも、一定以上の通信品質が求められることにビデオ通話(ビデオ会議)があげられます。
Skype(スカイプ)やMicrosoft Teams(マイクロソフト チームズ)、Zoom(ズーム)など、主要サービスでは“推奨”とする通信速度(帯域幅)を次のように案内しています。
◆Skype
・ビデオ通話(1対1)
下り(ダウンロード)速度:300kbps~1.5Mbps
上り(アップロード)速度:300kbps~1.5Mbps
・ビデオ通話(参加者3人以上)
下り(ダウンロード)速度:2Mbps~8Mbps
上り(アップロード)速度:512kbps
◆Microsoft Teams
・ビデオ通話(1対1)
下り(ダウンロード)速度:1.5Mbps
上り(アップロード)速度:1.5Mbps
・ビデオ通話(複数人参加)
下り(ダウンロード)速度:4.0Mbps
上り(アップロード)速度:2.5Mbps
◆Zoom
・ビデオ通話(1対1)
下り(ダウンロード)速度:600kbps~3.0Mbps
上り(アップロード)速度:600kbps~3.8Mbps
・ビデオ通話(参加者3人以上)
下り(ダウンロード)速度:600kbps~3.0Mbps
上り(アップロード)速度:1Mbps~3.8Mbps
ここでは各サービスで推奨とされる値の上限に注目してみます。すると、1対1のビデオ通話だと、下り・上りとも4.0Mbps前後の通信速度が確保できればOK。3名以上が参加する“グループ通話”では下りが8Mbps、上りは4.0Mbps前後の速度が出れば概ね問題ないことがわかります。
上記“推奨”の通信速度は、スマートフォンでのテザリングでも十分に事足りる値です。
テレワーク期間で積み上がる通信量も意識する
通信速度のほかにもう1つ、見過ごしてはならないのが通信量(期間の総量)です。
インターネットの利用時間・頻度が増加すれば、それに比例し1ヶ月単位での通信量も積み重なっていきます。
テレワーク中、常時ビデオ通話をしている、といったケースは稀でしょう。しかしテレワークには業務資料の送受信、オフィス内のパソコンへのリモートアクセス、業務システムの利用など、インターネット通信を利用した作業が他にも多く含まれることが一般的です。
1回(1作業)あたりの通信量は少なくても、1ヶ月分を積み上げた結果として通信量が数十〜数百GBまで至るケースも想定できます。
スマートフォンやモバイルルーターなど「モバイル回線」を使うサービスの多くは、利用内容に応じて通信量や通信速度に制限が設けられています。1ヶ月間に利用できる通信量が決まっていたり、通信量は使い放題でも一定量を超えると速度制限がかかったり、という具合です。
一時的に求められる通信品質と定常的に求められる通信品質。双方を意識しつつ、より“自分のテレワークのスタイル”に適した回線を検討してみましょう。
ここからはテレワーク用にオススメな「固定回線(光回線)」と「モバイル回線」の2種類に注目し、それぞれの特徴を見ていきます。
テレワーク用にオススメの回線
テレワーク用にオススメの回線は「固定回線(光回線)」と「モバイル回線」の2種類です。
安定して使いやすい固定回線(光回線)
自宅(=決まった場所)のみでの利用になるなら断然オススメなのは固定回線(光回線)です。
光回線には「通信速度が速い」「通信速度が安定している」「通信量を気にせず使える」などの特長があります。
光回線を通じてインターネットに接続する方法は2種類。
- 光回線のサービス事業者から提供される室内機器から直接有線でつなぐ
- 無線LANルーターを別途用意し無線(Wi-Fi)でつなぐ
無線LANルーターを使ってWi-Fi環境を構築すれば、自宅内では場所を選ばずインターネットに接続できます。パソコンだけでなく、スマホやタブレット端末など幅広い機器をインターネットにつなぐことができて便利です。
光回線の契約に際して注意したいことは3つ。
導入時に工事が必要
導入時には、光ファイバーと呼ばれる専用線を引き込む工事が必要になるため、申し込みしてすぐ使い始められるわけではありません。申込み時期にもよりますが、申込みから工事完了まで1ヶ月以上の待ち時間が発生する場合もあります。
急にテレワークが始まったという場合は、後述するモバイル回線を検討した方がよいかもしれません。
ただし、マンションやアパートなど集合住宅では、建物単位であらかじめ設備が用意されていることも。その場合はすぐに接続できるケースもありますので、事前に建物の管理者に確認してみましょう。
契約期間の定めあり
次に、契約期間が定められている場合が多いことが挙げられます。契約期間の途中で解約する場合は違約金が発生するケースもあります。
テレワークが一定期間のみで終了する可能性がある場合は、契約期間や違約金の有無と金額を確認し、テレワーク終了後も自宅で光回線を利用するかどうかを考えておきましょう。
外には持ち出し不可
さいごに、光回線はルーターを持ち運ぶことができません。テレワーク場所が自宅のみ(=決まった場所1箇所)なら問題ありませんが、そうでなければ、外出時などには別途インターネットを使うための通信手段を確保する必要があります。
「自宅以外でもテレワークをする」という場合には、このあとに紹介するモバイル回線も候補として検討してみましょう。
手間や場所の融通が効くモバイル回線
工事の手間を省けたり、機器の設置場所・利用場所が選べたりと、融通が効いて取り扱いがラクなのがモバイル回線です。
SIMカードを取り付けられるルーターにて屋外の基地局と無線で通信し、インターネットに接続します。ルーターが通信機能に特化した機器であることを除けば、しくみはスマートフォンでのデータ通信とおおむね変わりありません。利用に際して“物理的な工事”は不要。契約を済ませて必要機器を受け取れば、即日インターネットに接続できます。
2022年時点では5G通信に対応する機器も登場しています。5Gサービスの提供エリア内であれば、光回線に見劣りしない通信速度でインターネットが使えます。
モバイル回線用のルーターは2つのタイプに分類できます。バッテリー搭載で持ち歩くことができる「モバイルルーター」、自宅のコンセントに挿して設置する「ホームルーター」です。モバイルルーターは「ポケットWi-Fi」などとも呼ばれます。
モバイルルーターは自宅の外へ持ち出して使うことも可能です。
ホームルーターは設置する場所(住所)を申請し、コンセントに挿して使います。申請した住所以外では使用禁止、かつバッテリーも非搭載です。使い勝手は「固定回線+Wi-Fi環境」に似ていますが、配線が少なくて済むことはメリットです。ホームルーターの電源(=コンセント1箇所)だけ確保できれば設置場所には融通が効きます。
モバイル回線の契約に際して注意したいことは2点。
エリア外では利用不可
まずは通信サービスの提供エリア。携帯電話やスマホと同様、モバイル回線を使ったルーターにも電波を掴みにくい場所(あるいは入らない場所)があります。
サービスを提供する事業者ごとにエリアマップを公開していますので、テレワークする想定の場所がエリア内に含まれているかを事前に確認しましょう。
通信速度・通信量に制限つきの場合あり
続いて通信速度や通信量に対する制限の有無。モバイル回線向けプランの多くには通信速度や通信量に紐付いた制限(上限)が設けられています。
サービスやプランにより内容は様々で「1ヶ月間で○○GBまで通信可能」などのシンプルな制限もあれば「通信量は無制限。ただし直近3日間の通信量が○○GBを超えると速度制限がかかる」といった複数の条件がからむ制限もあります。
なお最近になり、モバイル回線では最低利用期間や違約金のないサービスも増えています。工事不要で手間が少ないことも含めて、テレワークが一時的なものになる見込みの場合などにはモバイル回線もオススメです。
「テレワーク期間」で選ぶオススメの回線は?
2種類の回線の特徴をおさえつつ、ここでは「テレワークする期間」の切り口でオススメの回線を紹介します。
長期のテレワークに向く「固定回線(光回線)」
テレワーク期間が数年単位で見込まれる、あるいは継続導入される場合にまずオススメしたいのは固定回線(光回線)です。
光回線の特長のうち、ここで注目したいのは、通信量を気にせず使えること。多くの光回線サービスは1ヶ月単位での定額制を採用しています。決まった月額費用を支払いさえすれば、通信量(総量)には上限がないものがほとんどです。
工事までの待ち時間が発生する可能性はあるものの、導入後は通信速度と通信量のいずれにもストレスを感じず使えることでしょう。
短期のテレワークなら「モバイル回線」
テレワーク期間が数ヶ月程度におさまる“一時的なもの”となる見込みの場合には、回線工事不要で導入時・解約時の手間が少ないモバイル回線をオススメします。
一番の理由は、2022年10月現在で最低利用期間や違約金のないサービスを提供する事業者が多数あること。あらかじめ確認し契約すれば、必要期間のみの利用はもちろん、予定を前倒ししてのテレワークの終了や、光回線導入時のつなぎ利用などにも柔軟に対応できます。
「モバイル回線」を選ぶ際のポイント
短期間でのテレワーク、あるいはテレワークを複数拠点にまたがって長期間おこなう場合などに“第一候補”になるであろうモバイル回線。
さいごにモバイル回線を選ぶ際に確認しておくべきポイントのおさらいです。
利用場所がサービス提供エリアに含まれているか確認する
まずはテレワーク場所がサービス提供エリアに含まれているかを、漏らさず確認しましょう。通信品質以前に、そもそもサービス提供エリア外だとインターネットに接続することができません。テレワーク拠点が複数にまたがる場合は、少なくとも滞在機会の多い主要な場所はひととおりサービス提供エリア内に含まれているかをチェックしておきましょう。
また自宅でも外出先でも使う場合、モバイルルーターの持ち出し中は自宅にはインターネット環境がなくなります。家族も共用するインターネット環境として回線を契約する場合には注意が必要です。
“通信制限”が許容できる内容か確認する
モバイル回線にどうしてもついてまわるのが、通信速度や通信量などに関わる制限。連続して短期間に大容量のデータ通信をおこなうと、通信速度や通信量に制限が課せられる場合があります。
テレワーク用として回線を用意する場合、1ヶ月の通信量が100GBほどになっても制限のないサービス・料金プランを選んでおけば、余裕をもって使えることでしょう。
また、速度制限時もテレワークに支障がない程度の通信量が確保できて、他の要望にも合うサービスがあればベストです。通常テレワークをしない深夜などの時間帯が速度制限の対象となっているサービスを選ぶのも、賢い方法といえます。
快適なテレワークにはインターネット環境が大切
テレワークの要件を満たす固定回線(光回線)にも多くの選択肢がありますが、たとえばビッグローブが提供する「ビッグローブ光」は、NTT東日本・NTT西日本と同じ“広いサービスエリア”において最大1Gbps*1の光回線が利用可能です。
ビッグローブは通信プロバイダーとして35年以上の実績を持つ老舗。毎月定額で高速かつ高品質なインターネットを利用できるだけでなく、auユーザーやUQ mobileユーザー、BIGLOBEモバイルユーザーなら、お得な割引も用意されています。
モバイル回線での通信環境を希望する場合には、BIGLOBE WiMAX +5Gという選択肢もあります。ルーターはモバイルルーターとホームルーターから選ぶことができ、双方に5G対応製品がラインナップされています。もちろん工事は不要で、端末が届いた日からすぐに使えるので、急ぎでテレワーク環境が必要な方にもおすすめです。
テレワークが増えたこの機会に、料金の見直しも含めて、インターネット環境を整えてみてはいかがでしょうか。
*1 最大通信速度は光回線タイプによって異なります。最大通信速度はお客さまのご利用機器、宅内配線、回線の混雑状況などにより低下します。