今では当たり前のように使われているインターネット。特にここ数年はコロナ渦の影響もあり、自宅でのリモートワークやインターネット経由でのリモート会議など、これまで以上にインターネットが生活に欠かせない重要なインフラの1つとなっているのがわかります。
光回線を敷設している家庭も多いと思いますが、いつ頃から一般家庭で高速な通信が可能になったのでしょう? 今回はインターネットの回線速度の歴史を紐解いてみようと思います。
最初のネットはアナログ電話!速度は1Mbps未満!
さかのぼること昭和の時代、一般のご家庭にはパソコンもなければスマートフォンもない。そんな時代にデータ通信の回線は、ほとんど必要のない代物でした。この頃は一部のファンが高級なパソコンを購入し、インターネットの前身とも言えるパソコン通信を行なっていました。その頃のデータ通信はアナログ電話の通話回線を使用した物が主流で、回線を繋ぐモデムや、電話器の受話器を直接置いて使用する音響カプラなどを用いており、回線速度は300bpsからスタートしたようです。
今年49歳の筆者が初めてパソコン通信の存在を知ったのは1986年、まだ中学生の頃でした。当時から筆者はパソコンを所有していましたが、この頃はたとえパソコンがあったとしても、今のWindowsのように誰でも簡単に通信ができる時代ではありません。別売のモデムを購入する必要がある上に、当時のデータ通信は電話をかけてサーバー側の機械と接続する「ダイヤルアップ接続」でした。この接続は電話で通話するのと同じなので、長時間通信すればするほど通話料として費用が発生することになります。とにかくお金がかかる事が分かっていたため、仕方なくパソコン通信を諦めた記憶が残っています。
▲モデムより更に前には、電話器の受話器を直接乗せて使用する音響カプラもありました
ちなみに当時のパソコン通信で楽しめるコンテンツは、ネット接続サービスを提供する会社が用意した、テキストベースのメール機能やテキストの掲示板、テキストの読み物など。ごくシンプルなコンテンツしかありませんでした。例えるなら社内の人間しか閲覧できない閉じられたホームページや、社内の人同士でしかやり取りできない簡易的なメール機能のようなイメージです。
なお、この頃のモデム速度は早くても1,200bpsくらいだったと記憶しています。アナログモデムの仕組みは、パソコンのデジタル信号をモデムを通すことでアナログ信号に変換し、それを電話回線を通じて相手に送ります。受信側は受け取ったアナログ信号を同じようにモデムでデジタル信号に変換してデータを受け取ります。そのため送受信側、双方のモデムの性能がデータ通信の速度を決定します。
Windows95ブームでインターネットが普及!
そこから10年、1995年のWindowsブームがきっかけとなり、パソコンが一般家庭に普及し始めました。それに伴い、パソコン通信の世界も大きく変化していきます。今まで主流だったパソコン通信も健在ながら、新たにインターネットのサービスが始まりました。アナログモデムが必要な状況は変わりませんが、プロバイダーに加入してインターネット接続することで、世界中で公開されているコンテンツが見られるようになり、1社のサーバー内のコンテンツしか見る事ができなかったパソコン通信と比べると、一気に世界が広がりました。
▲Windows95ブームでパソコンが一般家庭に普及するとともにインターネット利用者も増えました
筆者が初めてインターネットに触れたのは1997年の頃でしたが、当時勤めていた会社にて、インターネット接続専用のWindows PCを使用して、ブラウザで色々な情報を検索することができました。ここで筆者はYahoo!の検索を使って住宅情報サイトをチェック、見事にレアな引越し先を見つけることができたのです。インターネットの凄さを再認識しました。一方で今ほどインターネット上のコンテンツが豊富ではなかったこともあり、より濃い情報を得るためには、まだまだパソコン通信の方が充実していた時代です。
モデムの速度も大きく変化しています。当時市販されていたモデムの速度は33.6kbpsでしたので、10年前と比べて30倍近く高速化しているのが分かります。この頃になるとインターネットの登場により、これまで以上にデータ通信の需要が高まっており、モデムも高速化して、最終的には56kbpsまで高速化します。この頃になると、夜の11時から朝の8時までの電話回線があまり使われない時間帯限定ではありますが、定額でデータ通信が使える「テレホーダイ」というサービスが登場し、利用料金もかなり安く抑えられるようになりました。
また、1988年からは従来のアナログではなく、デジタル回線を使用してダイレクトにデータ通信できる「ISDN」回線のサービスも登場します。データ通信速度は1本あたり64kbps、1回線の契約で最大2本が利用可能でしたので、これを同時に使う事で最大128kbpsの速度で通信することが可能でした。こちらも1996年から時間限定の定額サービス「INSテレホーダイ」が開始しており、ヘビーなユーザーが多く乗り換えていきました。
この頃の筆者は完全にインターネットにハマっていました。「テレホーダイ」サービスに加入し、より高速なアナログモデムに次々と乗り換えていき、日々ネットサーフィンを満喫していました。この頃になるとホームページに画像が載せられるようになり、テキストだけではなく、ビジュアル的にも楽しめるコンテンツが多くなっていました。
なお、調べてみると、アナログモデムは現在でもAmazonなどで購入が可能なようです。ただし、これらを利用するにはメタルの電話回線を敷設している環境が必要になりますので、IP電話が主流の今日において使える環境は少ないかもしれません。
ブロードバンドの幕開け!ADSLサービス、1Mbpsの衝撃
インターネットの普及に伴い、2000年1月からは日本でもブロードバンドと呼ばれる高速データ通信が登場します。ただし、最初に一般家庭向けのサービスを開始したのはNTTではなく、東京めたりっく通信株式会社という、1999年設立のベンチャー企業でした。この会社が様々な困難を乗り越えて、安価な定額のデータ通信を最初に一般家庭向けに提供開始したのです。NTTがADSLサービスを開始したのは同年12月からですので、同社の果たした偉業は非常に大きな物だったと言えるでしょう。なお、東京めたりっく通信は、1999年の設立から2年後に経営破綻し、ソフトバンクに吸収されてその短い歴史を終えています。
当時高速のデータ通信を実現したのはADSLと呼ばれる技術です。ダウンロード速度はサービス開始当初からいきなり1.5Mbpsで、最大128kbpsのISDN回線と比べてもいきなり10倍の高速化です。ただし、ADSLは非対称デジタル加入者線とも呼ばれており、ダウンロード速度は高速でしたがアップロードは低速で、最大でも512kppsまでしか出ないなどアップロードの速度に差がありました。
ADSLはアナログ回線を使って実現できるサービスであるため、ISDNなどのデジタル回線があまり普及していなかった国にとっては非常に好都合な技術でした。ただし、基地局から家までの距離が遠くなるほど速度が低下しやすく、規格上1.5Mbpsであっても、実際は500kbps、場所によっては100~200kbpsしか出ないなど、通信速度が安定しないといった問題点がありました。
なお、筆者は当時東京めたりっく通信のサービスに一早く申し込んでみたのですが、残念ながら抽選に漏れてしまい、サービスを享受できず、お詫びのキーホルダーを頂いた悲しい記憶が残っています。そのため、後にNTTが開始したフレッツ・ADSLサービスを契約して、ADSLによる高速通信をついに手にすることができました。
ただし、筆者の当時の家は基地局からかなり遠くにあったらしく、通信速度はあまり高速ではなかった印象です。それでもアナログモデムやフレッツISDNと比べれば圧倒的に高速だった事もあり、概ね満足していた記憶が残っています。
そしていよいよ光回線が登場しますが、そのサービス提供時期は意外と早く、なんとフレッツ・ADSL提供開始の翌年、2001年8月からBフレッツがスタートしています。当時の価格は一軒家向けの通信速度100Mbpsのベーシックタイプが月額10,100円(税別)、10Mbpsのファミリータイプが月額6,100円(税別)、マンションタイプが月額3,800円(税別)でした。なお、これとは別にインターネットサービスプロバイダーとの契約、費用が別途必要だったため、実際の月額費用はさらに高額でした。
筆者の記憶では当時、プロバイダーの費用も安くはなかったため、個人が引くにはやや高額に感じた点と、アパート暮らしの場合は選択肢がなかった事もあり、ずっとADSLを使い続けていました。光回線のサービスを使い始めるのは、後にマンションに引っ越して、そのマンションで導入したBフレッツのマンションタイプが最初の体験だったと思います。
こうした光回線サービスの開始はNTTだけでなく、KDDIやソフトバンクも追随、さらにはケーブルテレビ事業者などもインターネット接続サービスを開始するなど、各社が高速なインターネット接続サービスを提供するようになっていきます。
なお、ADSLについては2004年くらいまでは利用者も増加し、速度も高速化していましたが、光回線サービスの普及や低価格化に伴い、2005年以降は利用者数も減少し、光回線への乗り換えが進んでおり、2023年1月31日を以ってフレッツ・ADSLは一部のエリアを除き、サービスが終了しました。
▲光回線の普及に伴い、ADSLは終息に向かい、より多くの一般家庭に光回線が広く浸透していくこととなります
そして2023年の現在では、下り速度1Gbpsは当たり前になりました。しかも速度だけではなく、導入しやすい価格や安定した接続など、高速であることは大前提ながら、多くの人がより安く、安心して使えるサービスの提供に力を入れるようになっています。
なお、「ビッグローブ光」では、通常のインターネット接続とは別に月額825円(税込)でテレビが視聴できる「ビッグローブ光テレビ」や月額550円(税込)で光電話が使える「ビッグローブ光電話」などのサービスも提供しており、インターネット以外でも光回線をフル活用するサービスを提案しています。
実はアナログの頃からやってたBIGLOBE!
ところでBIGLOBEはいつからこうしたネットに関連したサービスを提供していたのでしょうか。今回調べてみて驚愕したのですが、実はまだパソコンその物が普及する前の時代、具体的には1986年4月からパソコン通信サービスを提供していました。当時の名前は「PC-VAN」。50~60代の方の中にはこの名前でピンと来る方もいらっしゃるかもしれませんね。ちなみにパソコン通信で有名な「NIFTY-Serve」が1987年からサービス開始なので、BIGLOBEは実に35年以上も前からネット関連事業にかかわっていたと言えます。
インターネット接続サービスを提供するプロバイダーとして見てもかなり古く、1995年2月に「mesh」と呼ばれるインターネット接続サービスをスタートさせています。つまりBIGLOBEはインターネットプロバイダーとして見ても超老舗ということになるわけです。
ということで昭和の時代からの回線速度の変化についてざっと追ってみましたが、時代の流れとともに広がりを見せてきたインターネットは取り扱うコンテンツの成熟度とともにその速度を高速化していきました。これからも、さらに便利なサービスの増加に合わせて、より安定し、より高速な光回線のサービスが提供され続けていくことでしょう。
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*1 IPv6に対応していないサービス/サイトはIPv4接続となります。
*2 最大通信速度は光回線タイプによって異なります。最大通信速度はお客さまのご利用機器、宅内配線、回線の混雑状況などにより低下します。