札幌に住む自分は、北海道胆振東部地震で約二日間停電を経験しました。
自宅エリアで記録した震度は「6弱」。東京に住んでいた頃には3.11も経験し、地震の怖さは十分知っているつもりでした。
しかし、心のどこかで「北海道は大丈夫」という甘えがあり、災害用の対策はほとんどできていませんでした。
そんな中で訪れてしまった、大地震と北海道全域の停電「ブラックアウト」。
電気が使えないとどんな状態に陥るのか、停電を経験してみて初めてわかったこと・想定とは違っていたことがたくさんありました。今後のみなさんの備えに少しでも役立てば、と思い今日はご紹介していきたいと思います。
停電で一番困ったこと=「情報を取得できないこと」
地震後すぐに発生した停電。一番困ったのは「情報が受け取れないこと」でした。
停電が起きたことで情報を受け取る手段が途絶えてしまったのです。
- テレビがつかない
- ラジオも持っていない(後日、ラジオがあったことに気づいた)
- マンション備えつけのWi-Fiも使えない
- スマホでのネットも全然つながらない
- よって、スマホのラジオアプリ「radiko」も機能しない
深夜に停電が発生してから朝方までは、4G回線で普段通りにネットができていました。
停電がいつまで続くかわからないので、ソーラー式のモバイルバッテリーや電池をネットで買っておくなども難なくできていました。
しかし、次第にネットが重くなり、また携帯の電波が「圏外」になるなど、だんだんと不安定な状態へ。
札幌市のホームページを見ようにもネットがつながらず断念。ラジオアプリ「radiko」でラジオを聴くことなんて到底不可能になりました。
LINEは利用可能。が、重く読み込みに時間もパワーもかかった
唯一、かろうじて通信ができたのは、LINEでの「テキスト」でのやりとりです。
しかし、これも決して普段通りにはいかず、震災当日のお昼ごろになると重くなりました。
メッセージ受信を告げるバッヂが付くものの、そのメッセージを受信するまでに1分以上待つこともザラな状態。無論、LINEでの画像送信なんて全然成功しませんでした。
そのせいか、iPhoneのステータスバーでは、常に通信している状態を示すアイコンがぐるぐると回っていました。
「これはバッテリーの消耗が心配だ」と思い、本当に必要なとき以外はオフラインモードにして通信自体をシャットアウトするという運用に切替えました。
とにかく「停電がいつまで続くのか」を知りたかった
この停電の復旧の見込みがどれくらいなのか、がとにかく気になっていました。1歳過ぎの子供がいる我が家にとっては、蛇口からお湯が出ないことも気がかりです。
復旧まで数日なのか、数週間なのか。
もし数日ならば、自宅で保持しているモバイルバッテリーや乾電池を使い、夜の明かりや携帯電話の充電などを計画的に消化していく、ということもできます。
しかしながら、そういった確実な情報を震災1日目に得ることはできませんでした。
最悪、長期戦になることも視野に入れ、1日目の夜はソーラー発電式の微力のライトの下、ほぼ真っ暗と言ってもおかしくない、暗く静かな部屋で一夜を明かしました。
パトカーや救急車のサイレンの音だけが夜の町に響いていました。
電気の通った実家へ行き、テレビとネットで情報にありつく
翌日、先に電気が復旧していた実家(同じ札幌市内)へ避難をし、停電後はじめてテレビを見ました。
深刻な被害を映像として目の当たりにし、ことの大きさをようやく把握しました。
またWi-Fiも機能していたので、自宅から持ってきていたノートパソコンを使いSNSでの情報収集を開始しました。停電中の自宅付近について、電気復活の情報がないかを探りたかったのです。
すると19時前くらいから「◯◯丁目、電気復旧しました」と自宅にかなり近いエリアでの電気復旧情報がちらほらと出てきました。
「これはかなり期待できる」と思い、20時頃自宅へ戻りました。
すると、見事に電気は復活していました。こうして、我が家に発生したおよそ二日間の停電は幕を閉じました。
停電を経験して、学んだこと。
最後に、停電を経験して学んだことを紹介していきたいと思います。
やっぱり携帯式ラジオは必需品
コンセントの電気に依存しない携帯式のラジオはまさしく必需品だと実感しました。radikoがスマホにインストールされているから大丈夫だろう、という考えは間違っていました。災害時、ネットが必ずしも安定しているとは限りません。携帯式のラジオをお持ちでない方は必ずや備えておくことをおすすめします。
ちなみに、すこし古いAndroid端末をお持ちの方は、もしかしたらラジオ受信機能がついているかもしれません(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。
ノートパソコンもいざとなったら電力になる
我が家には、計3台のノートパソコンがあり、停電時のスマホの充電はこのノートパソコンから行うことができました。
モバイルバッテリーも保持していましたが、もし、その後に避難が必要になった場合のために、携帯性に優れるモバイルバッテリーは使わずにセーブしておきました。
停電のせいで、断水になる世帯があることを知った
最近の高層マンションでは、ポンプで水を送っておりその動力が電気でまかなわれているため、停電になると同時に水も止まってしまうそうです。マンション住まいの方は、ご自身のマンションの水が電力に頼るものかそうでないかを今一度確認しておきましょう。また、どんな住まいであっても飲料水の備蓄は必ずしておきましょう。
明かりとりのろうそくは非推奨と知った
テレビの地震情報のテロップに、明かりとりにろうそくは使わないで、というものを見かけました。火事を起こす危険性があるためです。
その後調べてみると、総務省消防庁が震災当日の9月6日にツイッターで同情報を呼びかけていたようです。災害用アイテムにろうそくを用意している方は、LEDライトなどに変更しましょう。
たくさんのデマ、たくさんのウソ
不確かな情報もたくさん入ってきました。
- 災害対策本部の友人より最新情報です。電気は本日中に復旧の見通しあり。
- 陸上自衛隊の知人からの情報です。◯時間後に断水が始まります。
- 消防士さんからです。 午前◯時ごろに大きな揺れが予想されているそうです。
などです。しかしながらいずれも嘘でした。
東日本大震災で、デマへの抵抗力はある程度できていたので、今回は踊らされることはありませんでしたが、それにしてもどこから出てくるのか不思議です。
駐車場からカーシェアリングの車を出庫できなかった
地震当日、実家へ電池を届けようとカーシェアリングを借りたのですが、いざエンジンをかけて駐車場から出ようとすると、駐車場のゲートが停電で開かないため、駐車場から出られない事態に陥りました。
結局、電池を届けることを断念せざるを得ませんでした。カーシェアリングをよく利用する方は、停電時はゲートのない駐車場を利用することをおすすめします。
起きてからでは遅い! 備えは必ずしておこう。
今後、いつどこでどんな災害が起こるかなんて誰にもわかりません。
しかしながら、来ない、ということだけは決してありません。今回、事前の対策の必要性を身をもって知り、我が家では地震後すぐに準備をしました。
災害用バッグを妻と自分用それぞれに作り、飲料水や非常食、子供のおむつやソーラー式のモバイルバッテリーなども買い足したり、お互い連絡がとれなくなったときのために集合する避難場所の確認や、互いの家族の連絡先をメモ描きとしても持っておく、などです。
備えは早いに越したことはありません。ぜひともこれをご覧になっているみなさんも、いつか来るその日のために事前の備えをしてください。
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