もともと増加傾向にあったテレワークは、コロナ禍により一気に普及しました。自宅や外出先で仕事ができるのは便利ですが、対面の機会が減ることにより、失われたものもあります。
それは気軽な雑談であり、ちょっとした相談や質問などのコミュニケーションです。横に人がいれば簡単にできたような質問も、いちいちチャットやメッセージアプリを介するとなると、面倒になってしまいがちです。
そもそも、人にぜんぜん会わずに仕事をしていると、人間関係の構築も難しくなってきますね。
このような状況を改善するツールはないか? ということで登場したのが「仮想オフィス」です。
仮想オフィスとは
仮想オフィスとは、インターネット上に仮想のオフィスを構築し、自宅にいながらアバターを通して、まるで実際に出社しているような感覚で仕事を行えるツールです。
これまでのテレワークは、主にWeb会議やチャットツールを使って行われていました。仮想オフィスツールには、それらにない生に近いコミュニケーション感覚が実装されています。
アバターをみればオフィスで誰がなにをしているのかは一目瞭然ですし、周りのざわめきなども聞くことができます。
すでに導入済みの業務効率化ツールと連携できれば、相乗効果で効率よく仕事が行えるでしょう。
用意するもの
VRゴーグルなどよけいな出費が必要になるのではないか?と心配になるかもしれませんが、ご安心ください。そのようなタイプのツールもありますが、たいていの仮想オフィスはこれまでに準備したインターネット環境、PCなどの端末、マイク、Webカメラがあれば十分です。ノートPCであれば、そもそもマイク、Webカメラは標準で装備されていますね。
また、多くの仮想オフィスはブラウザにログインするだけのシンプルな設計なので、利用者に新しい負担をかけることなく利用することが可能です。
2Dタイプの「仮想オフィス」を試してみる
テレワークを始めるとき、会社から端末を支給する場合と、個人の端末を使う場合の両方があるでしょう。後者の場合は、端末の性能が揃っていないため、なるべく負荷の軽いツールを選ぶ必要があります。
画面作りを2Dで行い、ブラウザで操作するタイプの「仮想オフィス」をいくつか試してみましょう。
たいていの「仮想オフィス」には、無料の試用期間が設けられているので、自社の環境(テレワーカーの自宅環境、導入済み業務効率化ツールの有無)に合うかどうかを試してください。
「仮想オフィス」の利用価格は、月額数千円から数万円程度です。利用するIDの数によっても変動しますので、詳しくは各サイトを参照してください。
イベントにも使えるバーチャル空間「oVice」
「oVice」は、ブラウザ上の仮想空間で自分のアバター(分身)を操ることができる仮想オフィスです。
入室するとアバターの周りに灰色の円が表示されます。これがいわば自分のパーソナルスペースで、相手のパーソナルスペースに近づけると、自動的に会話が始まります。興味を引かれる雑談の輪があれば、自然にその中に入っていくことができる、直感的なユーザーインターフェースです。
他人に聞かれたくない会話をしたい時は会議室に入室します。また、誰からも声をかけられたくないときは声掛けNGスペースに入ることもできます。すべてアバターを動かすだけの簡単操作です。
▲アバターを近づけると会話が始まる
Webカメラにも対応しており、デバイス設定でカメラ機能をオンにすると、自動的にビデオ会議モードになります(相手もカメラ機能をオンにする必要があります)。
▲カメラをオンにしているとビデオ会話も行える
ほかに画面共有やチャットも行えます。チャットは特定の人に向けて送ることもできるし、フロア全体に向けて発信することもできます。
用事があって席を離れるときは離席ボタンを押します。離席の理由を書いておくことができます。
また、SlackやZoom、YouTube、Googleドキュメント、Googleカレンダー、Microsoft Teamsといったよく使う外部ツールとの連携機能も備えています。
oViceの特徴は、仮想空間をオフィス以外にも、イベント、スクール、コミニュティなど多様な用途に使うことができる点です。数千人の通信にも対応しているので、大規模なイベントにも利用できます。
料金はサブスクリプションとワンタイムのどちらかを選べます。たとえば、イベントに向いたワンタイムでは、最低価格の「Basic」で2,750円/週、最大接続人数50名(推奨30名)、スペースサイズ1200×640ピクセルとなります。サブスクリプションサービスの「Basic」は最大接続人数50人(推奨10人)、スペースサイズ1200×640ピクセルで5,500円/月です。
状態をつねにアイコン表示できる「RISA」
「RISA」は最初3D画面でサービス開始されましたが、利用者の負荷を考慮し、現在は2D画面となっています。ログインすると、フロアにはオフィス風景が広がり、ところどころに緑の枠線があります。緑の枠線内に入ると、枠線内のメンバーで音声チャットやビデオチャットが行えるようになります。
▲会話を行うにはアバターを緑の枠線内に入れる
「入室制限」をオンにすると、ほかの人が入ってくることはできず、密室状態となります。なお、資料の作成など集中した作業を行いたい人のために、無音室も用意されています。
▲限定メンバーで会議を行うには「入室制限」をオンにする
アバターの上にはアイコンがあり、状態を「オープン」「電話中」「取り込み中」「離席中」などに切り替えることができます。パッと見て相手の状態がわかるのは便利ですね。なお、「Hello RISA」の部分は「資料作成中」など自由に書き換えることができるので、より細かく現在の自分の状態を知らせることができます。
▲ステータスを表示するにはアバター上部のアイコンを切り替えるか、文字を書き換える
画面共有の仕方も簡単で、画面下部にあるスイッチのうち「画面共有」をオンにするだけで、画面全体、ウインドウ、Chrome画面のいずれかを画面に表示させることができます。たとえば、ウインドウでエディタ画面を共有し、会話の内容をメモしていくといった使い方もできます。
▲画面共有をオンにし、エディタのウインドウを共有したところ
話をしながらお互いに記録する内容を確認できるので、会議後の内容確認の手間を省くことができますね。
RISAには、登録せずとも名前を入力するだけで簡単にゲストとしてログインできる「ゲスト招待機能」があるので、社外の人を招くことも簡単です。インターネット上の仮想空間を柔軟に利用できるよう設計されています。
料金はいちばん安いスモールプランで4,000円/月、同時接続人数は5人です。ベーシックプランになると10,000円/月で、同時接続人数が30人に増えます。契約は長期間一括にするほど割引が効いて、一人あたりの単価が安くなります。
シンプルで軽い仮想オフィス「NeWork」
「NeWork」はNTTコミュニケーションズが開発した国産の仮想オフィス。インストール不要で、クラウド上で動作します。メールとパスワードを設定し、初回の入室にはメールアドレスに届いた認証番号を入力する必要がありますが、次回からは認証不要です。デザインはとてもシンプル。端末への負荷を極力省いたデザインです。
入室すると「定例」「朝会」「開発チーム」「カフェ」の四つの会議室が用意されています(名前は変更できます)。
話をするためには、会議室をクリックして入室しましょう。設定ボタンを開くと、「聞き耳へ移動」という項目があります。これは発言しないものの、会話の内容は把握しておきたい場合に使う機能です。
▲会議室に入室し、設定画面を開いたところ。ゲスト用にルームを公開する
会議室にゲストを招集するには、設定画面を開いて、「ルームのゲスト公開」をオンにし、「ゲスト用ルームURLをコピー」をクリックして、呼びたい相手にURLを伝えます。ゲストはURLをクリックするだけで簡単に入室できます。
マイクとカメラはオンオフ切り替えることができ、音声チャットもビデオチャットも可能になっています。
▲カメラをオンにしてビデオチャット中
▲画面は拡大することもできる
ほかに利用できるコミュニケーション機能はルームメッセージと画面共有。会議を行うには十分な機能ですね。
料金は20人までなら無料です。50人までなら27,500円/月、100人までなら55,000円/月、300人なら110,000円/月です。無料のフリープランでも機能制限はないので、メンバーが少ない企業には非常におすすめです。
というわけで、三つの2D仮想オフィスを試してみました。アバターを駆使してオフィスの気配を細かく再現するものから、会議に特化し、無駄をすべて省いたものまで、ソフトごとに特徴があることがわかります。
oViceは人だまりが自然に形成されて、なにげなくその輪に入っていける設計が秀逸です。外部ツールとの連携機能も充実しています。
RISAはステータス表示が自然で、声をかけなくてもその人がどんな状態にあるか、一目でわかるところがいいですね。
NeWorkはフリープランが魅力的です。会議を行うのに必要な機能はひととおり揃っており、ゲストの招待も非常に簡単なので、個人が利用しても面白いのではないでしょうか。
ほかにも、音声に特化したタイプなど、さまざまな仮想オフィスがあるので、ぜひ試用してみてください。人と会えなくてストレスが溜まり気味な環境が改善されるかもしれません。
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*1 IPv6に対応していないサービス/サイトはIPv4接続となります。
*2 最大通信速度は光回線タイプによって異なります。最大通信速度はお客さまのご利用機器、宅内配線、回線の混雑状況などにより低下します。