VRChatってなに?いろいろな楽しみ方がある新しい”チャット”の魅力

ソーシャルVRサービス『VRChat』についてご紹介します。その特徴と魅力、ユーザーは何を楽しんでいるのかを『VRChat』歴4ヶ月の著者が解説。初心者向けの過ごし方もまとめています。

近年、日本国内でも改めて注目を集めつつある、バーチャルリアリティ(VR)。
ジョイポリスやVR ZONEといったアミューズメント施設でVRゲームを遊んだり、個人的に映像コンテンツを楽しんだり。それ以外にも最近は、教育や医療の分野でも導入が進みつつあると報道されていますよね。
そんなVR関連の人気サービスのひとつに、『VRChat』があります。
あまり聞き慣れないかもしれませんが、普段からSNSやネットカルチャーにふれている人の中には「聞いたことあるような……?」という人もいるのではないでしょうか。──そう、たとえばバーチャルYouTuberが好きで、動画を追いかけている人とか。
本記事では、そんな『VRChat』について紹介します。
TwitterやFacebookのようにメッセージをやり取りするのではなく、LINEやSkypeで通話する形でもなければ、InstagramやYouTubeライブで写真や動画を介して交流するわけでもない。どのWebサービスとも異なるコミュニケーションができる『VRChat』の魅力を、簡単にまとめました。

『VRChat』とは

https://www.vrchat.net
『VRChat』は、VRの仮想空間上で他者と交流できるソーシャルVRサービス。世界中のゲームを遊べるプラットフォーム『Steam』から無料でダウンロードできます。
Steam上では多くのゲームと並んで公開されていることもあり、『VRChat』を「ゲーム」として捉える向きもあります。それも完全に間違いとは言い切れませんが……どちらかと言えば、「コミュニケーションツール」としての要素が強いサービスと言えるでしょう。
そもそも名前からして、VR”Chat”ですものね。他のユーザーと雑談を楽しむ「チャット」であり、そう考えると真新しさはないようにも感じます。
ですが、そこはやはり”VR”の一語を冠するサービス。Twitterでリプライを飛ばしたり、LINEで通話をしたり、Instagramで「いいね!」を付けたりするのとは、ワケが違います。
何と言っても、身振り手振りも含めてリアルタイムでつながる『VRChat』では、現実世界さながらのコミュニケーションが可能。相手が本当に目の前にいて、面と向かって話しているように思えてくるんですよね……! これは他のSNSでは得られない感動でした。

十人十色のアバターと、多種多彩なワールド

そんな『VRChat』の大きな魅力のひとつに、「自分の好きな姿で交流できる」という点があります。
人型のアバターはもちろん、アニメチックなかわいらしいキャラクターやメカメカしいロボット、はたまた動物やモンスターの姿になっている人も。
サービス側で用意されているデフォルトアバターもありますが、『VRChat』では自分が作った3Dモデルをアップロードして使うことも可能。多くの人が自分の好きな姿で、時にはそのキャラクターになりきって、思い思いにコミュニケーションを楽しんでいます。中には生き物ですらなく、食べ物や無機物の姿で動きまわっている人もいるくらい。
そんな十人十色の──場合によっては百鬼夜行の様相を呈することもありそうな──アバターたちが交流するのも、これまた独特な空間。というのも『VRChat』ではアバターのみならず、自分が作った3D空間を「ワールド」として公開することができるのです。

▲『VRChat』のさまざまな「ワールド」
神社や公園、住宅街や古民家といった現実世界によく似たワールドもあれば、ファンタジー作品に出てきそうな街並みや、宇宙船内を模したSF色の強いワールドも。リアルを再現するも、異世界を創造するも、両方を組み合わせたワールドを作るも、ユーザー次第です。
そのような魅力的なワールドの中で、さまざまな姿のアバターがコミュニケーションを楽しんでいる、『VRChat』。そこではリアルの性別・年齢・肩書きはもちろん言語や国籍すらも関係なく、大勢のユーザーが思い思いに過ごしています。
居酒屋で語り合ったり、ナイトクラブで踊り明かしたり、鬱蒼とした森を探検したり、ベッドルームで一緒に寝落ちしたり。「チャット」を謳ったサービスではありますが、『VRChat』でどのように過ごすかは人それぞれ。ユーザーの数だけ楽しみ方がある──と言っても過言ではないように思います。

『VRChat』での過ごし方

では実際に、ユーザーはどのように『VRChat』で過ごしているのでしょうか。前述のとおり人によってさまざまではありますが、ここでは初心者向けに3つの過ごし方を紹介します。

① 誰かと話す

改めて説明するまでもないかもしれませんが、サービス名にもある「チャット」として楽しむ視点。「ユーザー同士でおしゃべりをする」のが『VRChat』の最も基本的な楽しみ方であり、ログインすれば昼夜を問わず、どこかのだれかと話すことができます。
主要言語は英語ですが、日本人向けのワールドもあるのでご安心を。大抵の時間は誰かしらいるので、話し相手には困りません。リアルでは人見知りな自分も、『VRChat』では不思議とスムーズに話せるんですよね……。初対面でも気さくに対応してくれる人の多い、優しい世界です。
ちなみに、日本人向けのワールドには日本語を勉強中の海外の方が訪れていることも多く、ちょっとした異文化交流が始まることもしばしば。「日本人だと思って話していたら、実は韓国人だった」なんてことも珍しくなく、彼らの語学力の高さに驚かされます。
また、「チャット」の名を冠したサービスではありますが……実のところ、一言も話さなくてもまったく問題はありません。『VRChat』にはマイクを使わずジェスチャーなどで交流している人もたくさんおり、「無言勢」(※悪い意味ではありません)として広く許容されています。
実際、僕も最初の数日は無言で通していました。それでもコミュニケーションを取ろうとしてくれる人は多く、しかも自然にやり取りをすることができて、居心地の良さを感じたことを覚えています。「お互いに無言でも、ジェスチャーと表情で気持ちは伝わる」ことを実感すると同時に、非言語コミュニケーションの楽しさに気づきました。

② ワールドを巡る

ユーザーが公開しているワールドを巡るのも、『VRChat』の楽しみ方のひとつ。
『VRChat』には驚くほどにたくさんの魅力的なワールドがあります。シンプルな部屋をかたどったワールドもあれば、現実さながらの街並みや建造物も。さらにはビーチに温泉、森林に花畑、宇宙に異世界などなど、『VRChat』ひとつでバラエティに富んだ世界観を堪能できます。
色鮮やかな世界を巡るだけでも楽しめますが、中にはゲーム要素があるワールドも。複数人でゲームを遊んだり、ちょっとした仕掛けのあるワールドを歩いたりと、いろいろな楽しみ方ができます。最近はホラーや謎解き系のワールドが人気なのだとか……?
自分の場合、リアルではカメラ片手に街歩きをするのが趣味ということもあってか、ひとりでワールドを巡りながら写真(スクリーンショット)を撮るだけでもすごく楽しめている現状があります。現実では滅多にしない「自撮り」も、かわいいアバターの姿になっている『VRChat』ではむしろ積極的にしてしまうくらい。僕が、かわいい……!

③ イベントに参加する

https://www.v-market.work
慣れてきたら、『VRChat』内で開催されるイベントにも参加してみたいところ。フレンドを増やすきっかけにもなるので、気になるイベントがあったらガンガン参加していきたいですね。
『VRChat』では有志によって数多くのイベントが企画されており、大小さまざまなコミュニティが存在しています。同好の士が集まって気楽に話すようなものから、朗読会、勉強会、映画鑑賞会、音楽ライブ、ラジオ体操、カフェの営業、類似アバターの交流会まで多種多様。
初心者を対象にしたチュートリアルツアーなど、参加するハードルが低い企画もあります。たとえば強制的にマイクがOFFになる「Silent Club」は無言勢にも優しいですし、毎朝のラジオ体操は誰でも気楽に飛び込めます。
他方では、「バーチャルマーケット」に代表される規模の大きいイベントも要チェック。こちらは来場者が3Dアバターや3Dモデルを自由に試着・鑑賞・購入することのできる、VR空間上で開催される展示即売会です。
3月に開催された『バーチャルマーケット2』では企業も含め400以上のブースが出展しており、9月開催を予定している第3回はそれ以上の規模になるという話。VRの魅力を存分に堪能できる一大イベントとして、ぜひとも多くの人に参加してほしいイベントです。

VRヘッドセットがなくてもOK!

ここまで紹介した以外にも、いろいろな楽しみ方がある『VRChat』。
お気に入りのワールドを見つけてひとりでボーッと過ごす人もいれば、3Dモデリングに関する情報交換をしている人もいる。英語や日本語の勉強のために使っている人もいれば、完全にそのキャラクターになりきって交流を楽しんでいる人もいる。本当に十人十色です。
僕自身、『VRChat』で”過ごす”ようになってから4ヶ月ほどが経ちましたが、今も飽きることなく楽しめています。
もともと積極的に話をする性格ではないのですが、アバターを介してのコミュニケーションが想像以上に心地良く感じられたんですよね……! 無理に喋らなくても、身振り手振りで挨拶をし、感情を伝えることができる。「話す」ことを強制されない距離感とゆるさに、癒やされているような感覚があります。

他にも「キャラクターの姿で話すのはこんなに楽しいよ!」「アバターでの交流にはこういった特徴とメリットがあるよ!」「3Dモデリングができなくても個性を出せて助かる!」といった話もしたいのですが……これ以上は長くなりそうなので、ひとまずはこのあたりで。
ちなみに、『VRCha』tは文字どおり「VR」を前提としたサービスのようにも感じますが、実はパソコンだけでもログインして利用できます。VRヘッドセットがなくても、スペックを満たしたパソコンさえあればOK。
VRのように自由自在に両腕を振り回すまではできませんが、キーボード操作でアバターを動かし、表情を変えることもできます。みんながみんなヘッドセットでログインしているわけではありませんし、VRかどうかに関係なく等しくコミュニケーションを楽しんでいます。
まずは試しに、パソコンでログインしてみてはいかがでしょうか?
※記事中の写真で使わせていただいているアバター
・Robot
・ミーシェ(作者:@ponderogenさん https://booth.pm/ja/items/1256087)
・響狐リク(作者:@karpo_twさん https://booth.pm/ja/items/1148939)
※記事中の写真で使わせていただいているワールド
・VRChat Home
・Home of the Time 時のお家(作者:fr1edさん)
・Sakura River -桜川-(作者:Coquelicotzさん)

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けいろー(@Y_Yoshimune)

フリーライター。ネット大好きゆとり世代。趣味のブログをきっかけに依頼をもらうようになり、勢いで独立。書評・アニメ・グルメ・旅行など何でもござれ。 ⇒ぐるりみち