初詣、お寺に行ってもいいの?今さら聞けない、神社とお寺の作法の違い

新年になったら気持ちも新たに初詣へ……。ところで初詣って神社とお寺、どっちに行くの? 参拝するとき、神社とお寺ではどう作法が違うの? ズバリ、解説します!

みなさん、初詣には行きますか?
新年になると、お寺や神社は参拝客でいっぱいになりますね。
筆者は寺社仏閣が好きで、普段からあちこちへ参詣するのですが、たまに「初詣って神社限定じゃないの? お寺でもいいの?」と聞かれることがあります。
中には、「ずっと近所の神社に初詣に行ってないが、実は神社ではなくてお寺だったことを最近知った」なんていう人もいました。
「初詣って神社とお寺、どっちに行くものなの?」「神社とお寺だと、何か作法が違うの?」……そんな疑問にお答えしましょう。

そもそも、なぜ初詣に行くの?

一年の始まりになんとなく初詣に行っているという人は多いと思いますが、「なぜ人は初詣に行くのか」には答えられない人も多いのではないでしょうか。
初詣とは、過ぎた一年を無事に過ごせたことに感謝し、新しい一年も息災に暮らせるよう、神仏に対しごあいさつに行くことです。
もともとは「氏神(うじがみ)様」と呼ばれる地元の神社へ参拝するのが主でしたが、戦後、交通機関の発達によって、地元以外の寺社へも気軽に初詣に行けるようになりました。

初詣は神社とお寺、どっちに行くもの?

初詣というと「神社へ行くもの」と思っている人が多いようですが、神社とお寺、どちらに行くのが正解なのでしょうか?
結論からいうと、神社でもお寺でもどちらでもOK!
一般的に、神社は「神様」、お寺は「仏様」がいらっしゃる場所といわれています。
日本で、神社やお寺が明確に区別されるようになったのは、明治の「神仏分離令」以降。意外と最近なんです。
それまでは、神仏習合といって、多くの神や仏は区別なく信仰の対象とされていました。
信仰上の理由があれば別ですが、どちらに初詣に行っても構わないのです。
たとえば明治神宮は神社、厄除けで有名な川崎大師はお寺ですが、お正月にはどちらもたくさん初詣の参拝客が訪れますよね。

初詣の参考に!神社とお寺の作法の違い

「好きな方に行っていい」ものの、神社とお寺では参拝の作法が異なります。
正しい参拝方法がわからないと、まわりをキョロキョロして気もそぞろに……。神様・仏様にしっかりと新年のあいさつをするためにも、作法は押さえておきましょう。

神社での参拝方法~本殿まで~

それでは神社での参拝方法をご説明します。
まず鳥居をくぐるときは、一礼をします。また、境内を歩くときは、道の真ん中は神様の通り道であるため、右はじか左はじを歩くのが礼儀であるといわれています。
次に、手水舎(手水場)で手を清めます。大きな神社などは、手を清める方法がイラスト付きで紹介されていることもあります。

  1. 手の清め方をカンタンに説明すると……
  2. 右手で柄杓(ひしゃく)を持ち、水を汲む。
  3. 柄杓に汲んだ水を左手に少量流し、左手を清める。
  4. 柄杓を左手に持ち替え、同様に右手を洗う。
  5. さらに右手に柄杓を持ち替え、左手のひらに少量の水をためて、手のひらを口に近づけて口をすすぐ。
  6. 再び左手に少量の水を流し、洗い清める。
  7. 最後に柄杓をタテにして、柄の部分に余った水を流して清め、完了。

文章にすると難しいようですが、流れをつかんでしまえばなんてことはありません。
コツは、最初に柄杓で汲んだ水で一連の動作を完了させること。途中で使い切らないように、少量ずつ使うのを意識するのがポイントです。
注意点としては、口をゆすぐとき、柄杓に直接口をつけるのはNG!
ましてや口に含んだ水でうがいをしたり、水をごくごく飲んでしまうのもダメです。(両方ともやっている人を見たことがあります……)

神社での参拝方法~本殿にて~

大きな神社のなかには、末社・摂社とよばれる小さな神社がいくつもあることが多いです。
まずは主祭神がまつられている本殿からごあいさつをしましょう。
神社での参拝のポイントをまとめます。
お賽銭は、両手でそっとお賽銭箱に運ぶのがベスト。人が多いとなかなか難しいですが、乱暴に投げ入れるのは止めましょう。
姿勢を正し、鈴がある場合は鳴らします。上着や荷物は下ろすのがベストですが、人が多いときなどは持ったままでも致し方ありません。
本殿に向かい、二回おじぎをして、二回手を打ちます(柏手)。その後手を合わせたまま神様に向かってごあいさつを。(このとき、自分の住所と名前を告げるのがマナーであるという説もあります)
ごあいさつが終わったら、最後に一礼をします。
出雲大社など、神社によっては「二礼・四拍手・一礼」を作法とするところもあります。気になる人は事前にネットで調べていきましょう。
帰りは、行きと同様、鳥居を出るときには境内を向き、一礼をして外へ出ます。

お寺での参拝は、手を打たずに「合掌」

次に、お寺での作法です。
山門(お寺の正門)の前で一礼をしてお寺に入ります。このとき、敷居を踏まずにまたいで入るのがマナー。
手水舎での手の清め方は、神社と同じです。次に、お線香があれば買い求めて上げ、煙を浴びて身を清めます。

ここからがお寺の本堂での参拝方法。

  1. 本堂や本尊の前で一礼をして、お賽銭箱にお賽銭を入れる。神社と同様、静かに入れること。
  2. 鰐口(わにぐち)など鳴らしものがあれば1回打つ。
  3. そっと手を合わせます(合掌)。ここが神社と大きく異なる点。仏様に感謝の気持ちでごあいさつを。
  4. 一礼をして完了。

こちらも、帰りは行きと同じように、一礼をして、山門の敷居をまたがずに外へ出ます。
おみくじやお守りの授与などは、本殿または本堂での参拝を終えてからにしましょう。
正しい作法ができると、神様や仏様へもしっかりごあいさつができる気がしてくるから不思議です。とはいっても、いちばん大切なのは「気持ち」であることを忘れないようにしたいものですね。
これで作法はばっちり! 新年のはじまりに、初詣へ出かけてみてはいかがでしょうか?

Kana.mM(かな)

編集プロダクション勤務を経てフリーライターとして独立し、そろそろ10年。旅行、不動産、広告、生活系のジャンルで執筆活動中。趣味は野球観戦と戦争ゲーム。アナログ心を忘れないデジモノ好きを目指しています。