いざというときのために。覚えておきたい消火器の使い方

街中のいたるところで見かける消火器。いざというとき、スムーズに使える自信はありますか? 今回は、消火器の使い方について取材をしてきました!

覚えておいてソンはなし! 消火器の使い方

横浜市民防災センターで消火器について学ぶ

街なかや屋内に必ず設置されている消火器。すっかり日常の風景に溶け込んでいますが、もしも火災が起こったとき、スムーズに使える自信がある人はどれくらいいるでしょうか?
特に冬は空気が乾燥しており、火災が起きやすいシーズン。いざというときでも慌てないために、消火器の基本的な使い方をマスターしましょう。
ということで、今回は、神奈川県横浜市にある防災学習施設である横浜市民防災センターへ。
消火器を使った消火活動が体験できる「火災シミュレーター」を見学し、火災が起きたときの対応や、消火器の使い方を学んできました。
こちらは同センター・消防士長の吉川裕太さん。実演を交えながら案内してくださいました。

火災を発見したら……

まず、火災を発見したときにすべきことはふたつ。
ひとつは、初期消火。火が小さなうちに消火器で消し止めることによって、火災が広がるのを防ぎます。
もうひとつは、119番通報で消防車や救急車を呼ぶこと。
どちらを優先するかは状況によりますが、現場に2名以上が居合わせた場合は、消火をする人と通報する人、というふうに素早く役割分担するのが理想的です。
そして「火事です!」と大声で周囲の人に知らせましょう。
このとき、消火器がある場所がわからなかったり、すでに炎が天井に到達しているほど大きくなっている場合は、消火器での完全消火は難しく、危険なため避難を優先しましょう。

消火器の使い方は3ステップ!

では、いよいよ消火器の使い方です。
消火器には粉末薬剤を噴射する粉末系や水系、ガス系など複数のタイプがありますが、設置されているのは粉末系のものが多いそうです。今回も粉末消火器をもとに解説します。

消火器の使用方法には3つのステップがあります。
まず、消火器上部にある黄色のピンを上に引っ張って外します。

次に、ホースをホルダーから外し、先端を持って対象物(火元)に向けます。

このとき、しっかりとホースの先を持つのがポイント。ホースの途中を手で引っ張ってもホルダーから外れにくい上、噴射した勢いでホースが暴れ、対象物を狙いにくくなってしまうことがあるので、ホースをもつときは必ず先端付近(ノズル)をしっかりと握りましょう。

ホースの先を対象物に定めたら、レバーを握って噴射します。レバーが固くて引きづらかったり、使用者が女性で片手で持つのが重い場合は、消火器を下においたまま体重をかけてレバーを下に向かって押せばOKです。

消火ポイント1:狙うは炎の先ではなく、火元

人は炎をみたとき、炎が高ければ高いほど恐怖を感じます。そのため炎の先にホースを向けたくなりますが、火元の部分を狙わなければ火は消えません。

消火ポイント2:火元から3~5メートル程度離れよう

消火器の放射距離は3~5メートル。火元より5メートルくらいの距離から火元に向かって噴射を始め、少しずつ近づきつつ、ホースを左右に動かしながら「ほうきで掃くように」消火します。
ちなみに、消火器の放射時間は約10~15秒。意外と短いので、しっかり狙って消火しましょう。

消火ポイント3:途中で止めずに使い切る

消火器は、かならず消火剤が出なくなるまでレバーを押して使い切ること。火が消えたと思ってもまだくすぶっているケースは数多く存在します。なかでも布団は消火したと思っても、時間が経って再燃する可能性があります。
また、自宅で火災が発生した場合など、部屋のなかが汚れるのを嫌い、途中で止めてしまうパターンが多いようですので、注意してくださいね。
さらに、うまくボヤで消し止められた場合でも、自分一人で後始末をしようとせず、必ず通報してください。
同施設内の「火災シミュレーター」では、消火器による消火活動が体験できます。天ぷら鍋の油から発火したという設定で、消火器の使い方を学びます。無事消火に成功すると、このような表示が。

火よりも怖い! 煙を吸い込まないように!

よく耳にする話ですが、火災で一番怖いのは「煙」だそうです。煙は一酸化炭素などの有害な物質を含んでおり、短時間吸い込んだだけで意識を失くしてしまうケースもあるのだとか。
火災時、煙は上に溜まるので、姿勢を低くし、ハンカチなどで鼻と口を覆って非常口を目指します。ハンカチがない場合は、服の袖や洋服の胸元で覆いましょう。
前が見えない場合は、壁に片手をつき、つたいながら移動すると迷いにくくなります。
施設内の「火災シミュレーター」には、体に害のない煙を充満させ、避難行動をレクチャーしてくれる煙体験もあります。
筆者も参加してみました。

体験用の無害な煙とはいえ、まったく前が見えず臨場感たっぷりで、けっこう怖い……!
疑似の煙はとても甘い香りがしたのですが、「香りがした」ということはつまり「煙を吸い込んでいる」ということ。本物の煙だったら倒れているレベルです……。

普段から防災意識を持とう!

吉川さんに、火災が起きた際に大切なことをお聞きしました。
「火災のとき、いちばん大切なのは落ち着いて行動すること。非常時に落ち着いて行動するためには、日頃からの訓練が何よりも重要です。自宅や職場などの消火器の設置場所を知り、消火器が古くなっていないかなど、定期的に確認をしておくことが大事ですよ。お近くに防災学習施設があれば、ぜひ出かけてみてください!」
さっそく、日常生活のまわりにある消火器をチェックしてみてくださいね。消火器がサビていたら、破裂してけがをしてしまう危険性もあるので注意してください。
備えあれば憂いなし。いざというときに慌てないために、知識と準備をしっかりと!
◆横浜市民防災センターの詳細はこちら (以下にリンク)
http://bo-sai.city.yokohama.lg.jp/

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Kana.mM(かな)

編集プロダクション勤務を経てフリーライターとして独立し、そろそろ10年。旅行、不動産、広告、生活系のジャンルで執筆活動中。趣味は野球観戦と戦争ゲーム。アナログ心を忘れないデジモノ好きを目指しています。