ChatWorkにSlack、LINEにDiscordなど、さまざまなチャットツールが使われている現在。
仕事用の連絡手段としても定着しつつある一方で、社外の人とのやり取りでは「メール」もまだまだ現役です。普段はチャットツールを使いつつ、メールのチェックは欠かさないようにしている人も多いのではないでしょうか。
しかし一方で、私たちは意外と「メール」の仕組みを知りません。ずっと当たり前に使ってきた連絡手段であり、Gmailなどは設定も簡単。ゆえに詳しくは知らないという人も少なくない印象があります。
そこで本記事では、メールサーバーの基礎について説明。メールの設定の際に必要となる、サーバー関連の基礎用語について取り上げます。
今回は特に、よく目にはする3つの単語「SMTP」「POP」「IMAP」について。なんとなく理解しているという方も、この機会に改めて確認してみてはいかがでしょうか。
「SMTP」とは
まず最初に確認しておきたいのが、「SMTP」という言葉について。
SMTPは「Simple Mail Transfer Protocol(シンプル・メール・トランスファー・プロトコル)」の略。これは簡単に言えば、「電子メールを相手のメールサーバーに届ける仕組み」を指す用語です。
メールソフトを使ってメールを送信すると、このSMTPサーバーに情報が送られます。するとSMTPサーバーは、送信先に指定されたメールアドレスのSMTPサーバーへとメールを送信。そこから受信用のサーバーを経て、相手に届く仕組みです。
メールを「送信」する際にSMTPサーバーが必要になるように、「受信」にも専用のサーバーが欠かせません。そこで登場するのが、「POP」と「IMAP」です。
「POP」、「IMAP」とは
メールの「送信」の際に必要となるSMTPに対して、POPとIMAPはどちらもメールの「受信」の方法を示す用語です。
メールの仕組みをまったく知らないという人でも、スマートフォンでこれらの単語は見たことがあるのではないでしょうか。メールの設定画面を順に見ていくと、その中に「POP」と「IMAP」の単語が並んでいることがわかります。
では、これら2つの受信方法には、どのような違いがあるのでしょうか。順に確認していきましょう。
「POP」とは
POPは「Post Office Protocol(ポスト・オフィス・プロトコル)」の略。「ピー・オー・ピー」「ポップ」と読みます(どちらも間違いではありません)。
ポストオフィスは「郵便局」を意味する英単語ですが、まさに郵便局をイメージするとわかりやすいかもしれません。
メール受信にPOPサーバーを使う場合は、サーバーに届いたメールをチェックしたら、パソコンやスマホにダウンロードしてから閲覧します。郵便局に手紙を受け取りに行って、もらった手紙は家に保存しておくようなイメージですね。
「POP」のメリットは?
一般的に利用されているPOPのメリットは大きく下記の3つになります。
ネットに接続しなくてもOK
受信したメールはパソコンに保存されるので、インターネットに接続されていなくてもすぐに確認できます。
POPでのメールは、サーバーからローカル、いわゆる自分が使っているパソコンのハードディスクにメールが保存されます。なので、ノートパソコンを利用していて、インターネットに繋がっていなくてもメールソフトを開くことで、これまで受信したメールをすぐに確認することができます。
メールサーバーの容量が小さくても大丈夫
メールを接続するたびにダウンロードするので、メールサーバーの容量が小さくて済みます。プロパイダのメールアカウントなどは基本POP形式で、容量が小さいですが手軽な価格で利用できるようになっています。
複数のアカウントでも一つのソフトでOK
さらに、複数のメールアカウントを利用していても、一つのメールソフトでまとめて受信、管理することができます。たとえば、プライベートと仕事でメールアカウントを分けて使用している場合でも、一つのメールソフトで管理できるのです。
逆にデメリットとしては、「複数の端末での管理には向かない」「端末が故障するとメールも閲覧できなくなる」といった問題があります。たとえばスマホでメールを既読状態にしても、パソコンでは未読のままになってしまうわけですね。
「IMAP」とは
IMAPは「Internet Message Access Protocol(インターネット・メッセージ・アクセス・プロトコル)」の略。「アイマップ」と読みます。「インターネット」「アクセス」という言葉からもわかるとおり、こちらはサーバー上でメールを管理する仕組みです。
IMAPサーバーを使う場合は、POPサーバーのようにメールをひとつひとつ端末にダウンロードする必要はありません。サーバー上に届いたメールにアクセスし、そのままインターネット上で閲覧します。
ちなみにGmailに代表される、ブラウザから利用できる「ウェブメール」は基本的にIMAPを利用しています。
IMAPのメリットは?
次に、IMAPのメリットを紹介します。IMAPのメリットは大きく三つです。
複数の端末から同じメールを確認できる
IMAPのメールは基本的にメールサーバーにあります。なのでパソコンが違っても、メールサーバーにアクセス(ログイン)することができれば、いつも使用している環境ではなくても同じように利用することができます。たとえば、外出先のインターネットカフェからでも、人のパソコンをちょっと借りてでも、メールの確認と送信ができるのです。
メールの開封状態もサーバー上で共有されるため、管理がしやすいのも特徴です。
使っているパソコンが故障してもメールは安全
もしパソコンが故障した場合でも、データはサーバー上にあるので別の端末からアクセスして閲覧できます。
パソコンのハードディスク容量を圧迫しない
メールをパソコンのハードディスクに保存しないので、パソコンのハードディスク容量を圧迫することがありません。
デメリットとしては、サーバーの容量制限が挙げられます。
端末にダウンロードするPOP接続の場合は「端末の容量」が問題になりますが、IMAP接続では「メールサーバーの容量」が問題になります。データ容量の上限に達することはそうそうありませんが、一応は意識しておくようにしましょう。また、サーバーが何らかのトラブルに見舞われると、メールを確認することさえもできなくなる可能性があります。
まとめ
以上、メール設定に関連してよく見る3つの用語「SMTP」「POP」「IMAP」について説明しました。
最近はテレワークの普及もあり、会社のメールをGmailで受信できるように設定している人も少なくないと聞きます。GmailでPOPもしくはIMAPを使用してメールを受信する方法については、Gmailのヘルプセンターを参照してみてください。