昔から伝わる地域の「言い伝え」には、防災に関するものがけっこう多い。
先人の残した言葉は経験に基づいたものなので、貴重な防災の手がかりとなるはずだ。
実際に総務省消防庁でも参考にしてほしいと『防災に関する「言い伝え」MAP』をWEB上で公開している。
そこで今回は、この『防災に関する「言い伝え」MAP』から、知っておくと役に立ちそうな言い伝えを抜粋して紹介しよう。
災害に備えて防災グッズを整えるのはもちろん大切だけど、地域の言い伝えを知っておくのも同じくらい重要だぞ!
「動物」の営みから災害がわかる?
先人は、地震や津波の予兆を日々の暮らしの中で感じることが多かったようで、全国にはさまざまな言い伝えがある。
とくに身近な動物にまつわる言い伝えが多い。
例えば全国に多く伝えられている「キジが鳴くと地震が起こる」という言い伝え。キジは藪の中で身を潜めているので、地震の予兆にいち早く気づくのではないかと言われている。
また、津波被害に何度も遭遇している宮城県には「地震があるときキジが鳴けば津波が来ない」「地震後にキジが鳴かないと津波が来る」などの言い伝えも残っている。
このほか「クモが巣を上にかければ洪水」というように、カラスやハチ、トビなどの動物が高いところに巣を作ると洪水になるという言い伝えも多い。
反対に「ハチが低い場所に巣を作ると台風が多い」など、低いところに巣を作るときは大風になるとも言われている。
逃げるべき「場所」も伝えられている
実際に災害が起こったらどうすればいいのかを残した言い伝えもある。
日本全国に伝わっているのは「地震のときは竹やぶに逃げろ」。竹やぶは根が強く張っているし、倒れるものがないことから安全だとされているようだ。
また「地震が来たら便所へ逃げろ」という地域も多い。
構造上、潰れにくいということからこのように言われているようだ。
近くに竹やぶがない場合は、トイレに駆け込むのがいいかもしれない?
さらに海沿いの地域では、津波から逃げるために「地震が来たら高台に逃げろ」「船で地震に遭ったら沖へ逃げろ」と言い伝える地域が多い。
高台に逃げるというのは周知されるようになったが、海上の場合は水深の深い沖に出て、津波に巻き込まれるのを防ぐようだ。
「地名」にも災害のヒントが隠れている
地名にも、先人の警告が隠されていることが多い。
栃木県に伝わる言い伝えでは「アカボッケ」というのは、崩壊地を示す地名だとされている。「アカ」は露出した赤土(関東ローム層)、「ボッケ」は崖を意味することから、崩れたやすい土地だと考えられている。
字にすると「赤法花」「赤法華」「赤堀花」などがある。
住んでいる場所の近くに似たような地名がある人は要注意だ。
さらに栃木県を代表する「鬼怒川」「小貝川」は”氾濫しやすい河川”を意味する名前だそうだ。
「鬼怒川」はもともと「毛野河」と書き、「クエ(崩)・ノ(野)」の転じた名称。また「小貝川」の「コカ」は「壊・倒」という意味で、「イ=井」で河川を意味する。
このことからも、先人が「この川は氾濫に気を付けろ!」との思いを込めて名付けていることがわかる。
もし近所にも気になる言い伝えがあったら、調べてみると防災のヒントになるかもしれない。総務省消防庁のWEBサイトもチェックしてみよう!
▼防災に関わる「言い伝え」MAP
地図上のエリアをクリックすると、その地域の言い伝えを見ることができるサイト
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