夜空に輝いて見えるのに、天体写真はプロやマニアでないと撮れないものと思われています。
しかし、アンドロメダ銀河やオリオン大星雲といった太陽系の外の天体はともかく、月や木星や土星など地球に近い天体は、天体望遠鏡を覗く機会があれば、スマートフォンでもそれらしく撮ることができます。そのための方法をご紹介します。


どうやって撮れる?

まずは、道具と撮影方法の説明。天体写真を撮る道具としては、一眼レフカメラと天体望遠鏡(または300mm以上の望遠レンズ)の組み合わせが一般的です。

次の天体望遠鏡の図を見てください。普通に肉眼で見るときは、望遠鏡の後端に「接眼レンズ」というレンズを差し込んで覗きます(A)。
一方、一眼レフカメラで撮るときはカメラのレンズは使わず、また接眼レンズも使わずに、望遠鏡をそのままカメラにつないで使用します(B)。
これが、プロやマニアがよく使う方法です。



写真を撮る方法はもうひとつあります。それは、人間が接眼レンズを覗くのと同じように、カメラのレンズに「接眼レンズ」を覗かせて撮る方法です(C)。
この方法は「コリメート法」と呼ばれており、木星などの惑星の拡大撮影では、マニアなどもよく使う方法です。このコリメート法を使えば、スマートフォンでも天体写真が撮れるわけです。


2,000円以下の望遠鏡で挑戦

あとでご紹介するように、手軽に天体写真を撮ってみたいのなら、公共天文台の観望会や、天文イベントなどに行くことがおすすめ。
でも、自力でなんとかやってみたいという人も多いと思います。

今回はまず、「書籍通販」で手に入る望遠鏡で、月をどこまで撮れるか挑戦してみました。使ってみたのはこれです。



「組立天体望遠鏡 15倍 / 星の手帖社」


最新のモデルはカラーが白黒のようなのですが、手元にあったものは真っ黒。でも、光学性能などはかわりませんのでご安心を。筐体はプラスチックでレンズはちゃんとしたガラス製。
実はこの望遠鏡、天文マニアのあいだでは「半端にお金をかけるくらいなら、まずはこれで遊んでから」と、初心者に勧めるアイテムです。



この望遠鏡を、できるだけしっかりとした写真用の三脚に取り付けます。このとき、上下用のハンドルが付いた三脚雲台の場合は、左の写真のように通常とは逆側にハンドルが来るようにセットしてください。こうしないと望遠鏡を空の高いところに向けられません。

撮影方法は極めてシンプルです。月を望遠鏡の視野に入れたら、まず自分の目で綺麗にクレーターが見えるように望遠鏡のピントを合わせます。次に、スマートフォンを持って接眼レンズを覗かせます。簡単なようで、これが実に難しい作業です。月がキレイにスマートフォンの画面に収まるポイントは、ほんの数ミリ中にしかありません。



上の図は、スマートフォンで接眼レンズを覗かせる際の重要ポイントです。スマホは望遠鏡と垂直になるようにしなければなりません。また、スマホのレンズが、接眼レンズの真ん中にくるようにしなければなりません。また撮影する際、ピント合わせ機能のあるスマホならば、画面に表示された月をタッチするとピントや露出を調整してくれる場合位があります(iPhone5や6では可能)。

実際に撮った見本は下の写真です。この望遠鏡では、拡大率が低いので、スマホ側で若干ズームして撮っています。月は若干シャープネス画像処理を加えています。


土星を撮ってみる

土星や木星は、さすがに2,000円の望遠鏡では荷が重い対象です。
主な理由としては「倍率」が不足するからです。そして、倍率が高いと星が画面からどんどん逃げていってしまいます。
2,000円の望遠鏡で月を見ていても、数分で画面から逃げていく月を実感できます。地球が回っていることが実感できます。

これを解決するためには、公共の天文台が一般に公開しているイベントに参加したり、天文マニアや天文系機材メーカーなどが参加する、天文イベントに参加するのがよいでしょう。このような会で使われる機材の多くは、土星や木星などを自動的に追尾してくれる望遠鏡だからです。イベントに行ってみたい方は、このレポートの最後のリンク一覧を参考にしてください。



上の写真は、筆者の持っている天体望遠鏡です。イベントなどで写真を撮る際は、接眼レンズをスマートフォンに覗かせて撮ることに変わりはありません。
ただし、イベント主催者や参加者によっては、スマートフォンでの撮影を禁止しているところもありますので、公共天文台の観望会などについては、事前に問い合わせをしておくとよいでしょう。また、混雑しているイベントでは、時間のかかる撮影はマナーの点から控えたほうがよいでしょう。



上の写真は、筆者が地元の天体イベントの際に作った機材です。お菓子の缶の蓋に穴を明けて、スマートフォンを置くと接眼レンズをピッタリ覗けるようになっています。右の写真のように、土星も綺麗に映ります。手を離せるので動画を撮ることもできます。以下は、この機材を使ってiPhoneで撮った画像です。



天文台とイベントの情報

今年の夏は、土星・火星がさそり座のアンタレスと並び、とても賑やかな夜空が楽しめます。公共天文台の観望会や天文イベントに行けば、きっと楽しい体験ができるはずです。天文台案内サイトと主なイベントをご紹介します。

<天文台案内サイト>
PAO Navi 全国プラネタリウム & 公開天文台情報
https://paonavi.com/

<主な天文イベント>
「国立天文台三鷹・定例観望会」
東京都三鷹市大沢
月に2回程度(詳細はホームページの日程を確認)
https://prc.nao.ac.jp/stargazing/index.html

「サマーホリデーin原村星まつり」
長野県諏訪郡原村
2016年は8月5日(金)午後5時~ 8月7日(日)午前9時迄
http://www.mtlabs.co.jp/shinshu/event/starfess.htm

「胎内星まつり」
新潟県胎内市
2016年8月26日(金曜日)~2016年8月28日(日曜日)
http://www.niigata-kankou.or.jp/sys/data?page-id=2233

「星をもとめて」
京都府南丹市園部町
2016年9月18日(日)午後 1時スタート 19日(祝)午前 11時閉会
http://www.hoshimoto.jp/index.php/about/inde

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よしざわ りゅう

天体写真やタイムラプス動画を撮影しつつ、バンド活動も謳歌している遊び大好 中年。スマホ活用からマニアックな撮影までレポートします。本業はWEBマーケ ティング会社役員。

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